初恋っていつ頃から体験するものなのだろうか。未だに初恋というものを経験したことがない私にとっては未知の世界だ。友達には「信じられない!」とか「えー」とか驚かれるけれど、経験したことないものは比べようがないから私にとっては「こんなものか」という程度で終わってしまう。
冬休み明けの学校は何処かざわざわと騒がしく、落ち着きがない。まだ体が楽しかった休みから抜けきっていないからだろうか。私だってどこか落ち着かない。この騒がしい教室の空気にも、久しぶりに顔を合わせたクラスメイトにも、どこか高揚する心にも。
「痛っ」
しまった、と思ったときにはもう遅い。教科書を鞄から取り出そうとした時に指先を紙で切ってしまった。紙で切ったとき特有のピリピリとした痛さが指先を麻痺させる。指先には赤い線が入ってそこからは血がぷっくりと盛り上がっている。
「手、切ったのか?」
思わぬところから声をかけられてビックリして、慌てて指先から顔を上げると隣の席に座っている泉くんがこちらをジッと見ていた。女の子顔負けの可愛らしい顔が私のことを凝視している。
「え、あ、うん。」
正直、泉くんとはあまり話をしたことがない。ただのクラスメイトというだけで接点も何もない。彼が野球部だっていうのは知っているけれど私は野球にも特に興味はない。(友達が野球部の誰がカッコイイ、なんていうのは耳にしたことはあるけれど。)
「じゃ、これやる」
私と泉くんの距離、その間1m未満。その間で泉くんが投げてきたバンドエイドが宙に舞う。慌てて手を伸ばしてキャッチをすると泉君が「ナイスキャッチ」と言って笑った。
初 恋 の 予 感
(恋っていきなりやってくる!)
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