ごめんねと呟いた声は ひどく泣き出しそうな声だったから、
数ヶ月前のおれなら、地球にいても時々ふとコンラッドのことを想っていたと思う。眞魔国を離れて、大シマロンの使者になったこと。いや、それはまだよかった。彼は魔族と人間の血が半分ずつながれている。人間側についたとしても、それは彼の意思であっておれが何か言える立場じゃない。それが、その国の王となれる可能性があれば、尚更のことだ。
けれどおれが気にしていたのはそんなことじゃない。
何故、おれに何も言わなかった?
気のきく彼のことだから、またどうせおれの為とか、そういう理由だったんだろう。
けれどおれは。
どんな理由でおれの許を離れていったなんていうことより、あんたがいなくなったということの方が、辛かったんだ。
けれど、種を。種を播きに行ったと、あんたは言った。意味は分からなかった。けれど彼も分かってもらいたくて言った言葉ではないと、分かっていた。
それでもおれは、それだけであんたを待てる理由が出来たから。
「あんたの還る場所は何処だ」
「あなたの許です」
確かにそう彼は言った。何の迷いもなく、それこそ即答した。
なら、もう何も不安はないよ。
さあ還ろう。
彼は少し 遅れてくるみたいだから。
大丈夫彼は、彼は還ってくる。
(まるマ/コンユ)
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