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思いがけない暖かさに~君を見つける10のお題~
[REBORN/ヒバラン]



今日も泣き出したいのを我慢して、必死に涙を堪えて呟く。


「が…ま……んっ…!」


ボンゴレの屋敷の階段の影で、ランボは一人で蹲っていた。
成長期を迎えたランボの身体は、今や急激な身長の伸びに耐え切れず関節が悲鳴を上げていた。
所謂成長痛というものだが、ランボの場合はそれが人並みはずれて酷かった。
寝ている間に骨が伸びる音が聞こえることが怖くて眠れないので、目の下には隈まで出来ている。
今日もボンゴレの部屋に呼び出されたが、その場所へ辿り着く前、階段を下りきったところで痛みに耐えかねてしまったのだ。


「ううっ……痛い……」


自分の膝を見詰めて涙を眼に張ったランボは、どうしようかと考えあぐねる。
ボンゴレの部屋へ行かなくてはならない。
けれど、関節が軋む。
ボンゴレは身長が伸びきれば痛みも治まると言ってくれたが、その時が今来てくれないかと、ランボは必死に願っていた。


「何してるの」


その時頭上から降って来た声に、ランボは反射的に上を仰ぎ見る。
そこには昔からの憧れの、雲雀が眉根を寄せて立っていた。


「ひばり、さん」
「上の方まで君の声が五月蝿いんだけど」


どうやら機嫌は最悪らしく、とても不機嫌そうな表情のままで階段を降りてきた雲雀を見て、ランボはさあっと血の気が引いた。
その不機嫌の原因が自分にあるということが恐ろしい。
けれど気にかけてもらえた、という事実が嬉しくてたまらない。


「また誰かに泣かされたの?」
「え、と、ちが……っ!」


雲雀の方を見て話そうと身体をひねった途端、ズキンと関節が悲鳴を上げた。
思わず息を詰まらせて膝を抑えて呻くと、雲雀の目もそこへと向けられた。


「怪我でもしたのかい」
「~~~っ」


違う、といいたいのに痛みに声が詰まって出てこない。
涙を貼ったままのランボの目を見て何を思ったのか、雲雀はランボの目線にあわせるようにしゃがみこんだ。
すっと伸ばされた右手を見て、まさか五月蝿いなんて殴られるんじゃないだろうかと恐怖したランボは思わずぎゅっと目を瞑る。


「おいで」


ランボは耳を疑った。
雲雀の声色は思った以上に優しく、そして自分の腕を優しく掴んだその温もりも予想しなかったことだからだ。
目を開けると、雲雀は既に立っていて、ランボの腕を優しく引いている。
膝に怪我をしていると思い込んだ雲雀は、無理に立たせようとはしないつもりなのだろう。


「立てないほど酷いわけじゃないんだろう?」


血は滲んでいないようだし、と続ける雲雀の言葉に、ランボは慌てて立ち上がる。


「ここでぐずられていても迷惑だからね。」


怪我ではなく成長痛だということを告げる機会を見失い、ランボは雲雀に引かれるままに歩き出した。
いつもはもっと早く歩くはずなのに、ランボにあわせてくれているのか、雲雀の歩調は随分と遅い。
さっきまであんなに痛かった関節が、何故か雲雀に惹かれている間は不思議と痛みが引いていた。


黙々と前を歩きながら、ランボの手を引く雲雀。
ランボは雲雀の背中を見ながら、いったい今どんな表情をしているんだろうかと想いをめぐらせた。

優しい声色

暖かな温もり

ゆっくりと手を引く心地よさ


どれも全て、今までの雲雀に対する印象ではありえない感覚。
ランボは後で成長痛だということがバレて、その時咬み殺されるのだとしても、
この時がずっと続けばいいのに と、それだけを強く願っていた












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