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東方日曜者〜勇〜


「雨かぁ……」
雨は嫌いだ。お外に出られないから魔理沙に会いに行けない。
それにこんな天気じゃここに遊びにも来ないだろう。
「やっほー!」
そんな天気なのに、誰か来た。
初めて聞く声だ。
気になって、部屋を飛び出してみる。
「おやおや、これまた可愛い嬢ちゃんだねぇ」
その声の主は……、えーっと、そう、「あねご」って感じの人で、頭には一本の角が生えていた。
「お姉さん、誰?」
「私かい? 私は鬼の四天王が一人、怪力乱神の勇儀さ」
「勇儀……さん?」
いきなり弾幕ぼう、とは言わない。
初対面の相手にそれを言うのは「ぶすい」で「しんしらしからぬ」事なんだってお姉様が言ってた。
「そうそう。にしても、すっごい雨だねぇ」
アッハッハッと楽しそうに笑う勇儀さん。
「何がそんなに面白いの?」
「ん、雨がそんなにつまらないかい?」
「うん。私は吸血鬼だからこんな土砂降りじゃお外に出られないし」
傘で防いでもこんなに土砂降りじゃ防ぎきれない。
流水は私達にとって苦手な物の一つ。
「でもさ、雨にも楽しみ方があるんだよ」
「どんな?」
「これさ」
そう言って、懐から一升瓶を取り出す。
「お酒?」
「そう。晴れの日は月を眺めながらグイッと、雨なら降り注ぐ水音を聞きながら、ね。五感すべてを、場合によっては第六感も総動員して愉しむのさ」
「へぇ、私もやってみようかな」
「お嬢ちゃんにはまだ早いんじゃないかなー?」
むっ。
「これでも私、495年も生きてるんだよ! お酒は……、あんまり飲んだことない、けど……」
お酒なんて、お姉様に勧められて何度か飲んだだけだ。
「じゃ、ここでちょいと呑むかねぇ」
そう言って、勇儀さんはこれまた懐から二つの杯を取り出した。
「大好きな雨に」
「大嫌いな雨に」
『乾杯』
そう言って杯を傾ける。
初めて呑んだ日本酒は、不思議な味がしたけど、それは嫌な味じゃなかった。



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