Sex Doll
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はぁ……はぁ、ハァ……、ハァッ……
薄暗闇の中、豪奢な装飾が施された広い寝室の中心で、重たく湿った吐息を響かせながら、ふたつの影が蠢いている。
ひとつの影は、名匠の造る陶磁器のように白く滑らかな肌をもった少年で、その顔の造りも完璧に掘られた彫像のように整い、可憐な少女ともとれる中性的な面差しをしている。
そしてもうひとつの影は、白髪混じりの中年男で、腹が醜く垂れ下がり、指は腸詰のウィンナーのように太い。その指を、白い少年の身体を這うように蠢き、巨体が細い少年の身体を組み敷いている。
「あぁ、美しい眞、おまえは素晴らしい……!何もかも完璧だ、何者にも劣らない、最高傑作……っ」
まるで酒にでも酔ったかのように陶酔の表情を浮かべながら、ぶ厚い口唇を少年の耳元に寄せて囁く。その度に吐き出さる息に混じって鼻をつく老体特有の不快な匂いに、少年は形の良い眉を歪めた。
「おまえも感じているのか、そうだろう、私もホラ、こんなに」
醜い肉の塊が少年の腹部に擦りつけられて、少年はさらに眉を顰めた。それは少年にとって嫌悪そのものでしかない感触で、全身の肌が粟立ち、ともすればあまりの気持ち悪さに嘔吐しそうにもなる。
少年にとってこのような行為は、はじめての経験ではなかった。もう何度も繰り返されたことである。しかしそれは決して慣れることのできないもので、都度、少年を苦しめた。そして、少年には、己の所有者、主[あるじ]である男の庇護を受けている身上ゆえに、突き離すこともできず、ただ甘んじて、このような醜悪な行為を受け入れるしかないのである。
「眞、堪えなくていいんだぞ、お前の声が聞きたい」
男は少年の手をとり、自らの膨れ上がった肉の塊に、少年の白く細い指を絡ませた。
少年の息が詰まる。
「……っ!」
「素直になれ、眞。いつものように」
男は臭い息を少年の耳元に吐き付けた後、催促するように、ねっとりとざらついた舌を、少年の柔らかい耳たぶにベロリと這わせた。
「おまえのキレイな鳴き声を、私に聴かせてくれ」
耳たぶをベロリと舐めとった舌が、次は少年の耳のカタチの良さを確かめるように全体を存分に舐め回し、次に首筋、おとがい、鎖骨へと降りてゆく。
「ぃ…あ、……んっ!はぁ……ァ、アァ……ンッ」
男は満足したようにニタリと微笑んで、また耳元へ口唇を寄せた。
「そうだ、眞。……あぁ、イイ。イイ、ぞ……お前の鳴き声は最高にイイ……!」
美しい少年の痴態と妖艶な声に煽られた男は、もはや自らの高ぶりを抑えきれず、言葉も絶え絶えに息が荒くなっていく。
「さぁ、眞。いつものように、私に奉仕しなさい。上手くしゃぶれたら褒美をくれてやる。お前を気持ちヨクしてやるぞ」
男は体を反転させ、両足の間に挟んだ少年の頭を掴んで、それを自分の中心にあてがった。
「ぅ……んっ!!」
固く膨らんだ肉塊が少年の喉奥を突き、少年は苦しさに喘ぐ。が、脅迫するように男の手が後頭部を押さえ込んでくるため、苦しんでばかりもいられず、少年は、命令に従った。懸命に、そしてテクニカルに、肉塊へ”奉仕”する。
「あぁ……イイっ、はぁ……もっと!もっとだ、眞」
くちゅくちゅ……
濡れた卑猥な音が寝室と、そして少年の脳内に呪詛のように響き渡っていく。
「はやり、眞、だな……ハァッ、蛍はいかん。あいつは何もしない、ただの木偶の坊だ……それに比べて眞は……あぁ」
後頭部を押さえこんでいた手が、少年の顔に刻まれたアザの上を滑り、それを慈しむように撫でた。
「私を歓ばせてくれる……アァ、もっとだ、眞……!そうだ、そう……っ!愛しい、我が子……!!」
恍惚の表情を浮かべながら男は、息子の口の中に精子を撒き散らし、そして果てた。
―――『我が子』だと?
―――僕はあなたの『人形』でしょ?あなたの……ただの性奴隷だ。
この口の中にある醜い肉塊を喰い千切れたらどんなに爽快だろう、そう思いながら、しかし、今はまだこの男に従属するしかない幼き自分の立場をわきまえた少年は、腹の底から湧きあがる衝動をなんとか堪え、肉塊とともに、口の中の苦い液を男の腹へと吐き出した。
―――今はまだ早い。もう少し……もう少しの間、堪えるんだ。そうすればコイツの力を奪い取った後……!
少女ともとれる可憐な少年の顔、そこには似つかわしくない獣のような鋭い眼光が光っていた。
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