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◆ジュピターさんとボス


 下を向いた瞬間、視界に見慣れた桃色が入ってきた。
 朝いつもと同じ時間に起きれなかったせいでまとめ方が甘かったのだろう。団子状に結わいていた髪がほどけていた。
 部下が拾ったヘアピンをくわえて、ほどけないように髪を結わえながら歩いているとボスがこちらを確認するように一瞬振り返った。仕事中になにをしているんだと呆れられるのではないかと思い、反射的に笑顔になってしまった。ボスの肩に黒い長い髪がついていることに気がついたのはその時だった。

 取ろうと手を伸ばしたけれど、ふとこの黒く長い髪がだれのものなのか気になった。
 ボスの髪は短く空色だし、マーズもサターンも、というかこのギンガ団に髪の黒い人間がいるだろうか。
 ポケモンの毛にも見えない。明らかに人間の毛が、なんらかの拍子にボスの肩口に付着したのだろう。
 わたしは思わず口角があがってしまうのをおさえられない。

「ボス。ゴミがついてますよ」

 そう言ってその黒い髪をボスに見えるようにつまみあげた。
 ボスはわたしの手元を見て、ああ、とひとこと言っただけで特に大きなリアクションは見せなかった。
 だれの髪でしょうねとひとこと付け足そうかと思ったけれど、肩の髪をつまみあげた瞬間自分の髪をかわりにボスの肩につけたのでこれ以上はからかわないことにした。
 ボスの肩についたわたしの桃色の髪を見た他の団員はなんと思うのだろう。
 そのことを考えると面白くて仕方なかった。

END
(akhkをからかう木星さん)



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