|
拍手ありがとうございます…! 以下 「両手いっぱいの花束を…」の続きです 春のうららかな陽気に誘われて、舞う白い蝶を見ていると、まるで白い上着に付けた兎の耳のような飾りをはためかせて走る彼の姿を思い浮かべる。 この世界が崩壊を迎える以前、国会議事堂があったこの場所には四季折々、様々な花が咲き誇る。 何もない崩れ落ちたこの世界で、美しくも儚く咲く花は今やセピア色の写真を鮮やかに彩るような存在になっている。 「あ、大和。ここにいたんだ」 不意に背後から声を掛けられて振り向くと、満面な笑みを浮かべて軽く手を振る彼が居た。 可愛らしく黄色い花をつけた菜の花を手にしている響希に、ふと知識としてあった内容を思い出し彼に問う。 「菜の花の花言葉を知っているか」 暫く何か考えていた響希が頭を横に振る。彼の蒼く透通る瞳が真直ぐこちらを見詰めてくる。 「小さな幸せ、だそうだ」 片手で花を持つ彼の空いている手を取って抱き寄せれば、一瞬驚いたような表情を浮かべるが、すぐに嬉しそうに目を細める。 曇りのない笑顔を浮かべる響希にこの上ない愛おしさを感じて、抱き寄せる腕に力を込める。 柔らかい春の暖かな風が吹き抜ける。心なしか甘い花の香りが漂い鼻腔をくすぐる。 穏やかな日々を彼と過ごせる、そんな当たり前で些細な事を幸せと感じることができる、これも全て彼が教えてくれたことだ。 2014.4.23 |
|
|