![]() 無数の瞳がこちらを見返し、一斉に飛び立っていった。 物言わぬ機械人形のされこうべが今にも喋りだしそうで、シャドウの後ろからなかなか出て来れなかった。 意を決して一歩踏み出せば、わずかな残照が荒野を紅に染めていた。冷たい風が、乾いた草の香りを運んでくる。 「ここは戦場だ」 「戦場?」 「戦争の跡地だ。これらはそのときに使われた兵器だ」 「兵器?」 「人を効率よく殺す道具のことだ。種類から見て、おそらく200年ほど前だろう」 「ふうん…ねぇ、シャドウ」 「どうした」 「どうしてシャドウはそんなに悲しそうにしてるの?」 歩みを止め、見返してくる瞳は少し揺れていた。シャドウはしばし瞑目し、シルバーの頭を撫でた。 「……昔を、思い出すだけだ」 シャドウは、それきりふっつりと黙り込んでしまった。 頭を撫でたのは、もう聞くな、という合図である。朽ちかけた兵の残骸を見つめる横顔は疲れた老兵士のようだった。 時折、シャドウはシルバーの向こう側にいる人々を見ている時があるようだ。 シャドウの言う『昔』。彼の纏う銃痕だらけのマントの意味。 すべて言葉を解さなければ、幼い彼には分からない。 ただ分かるのは、シャドウが辛そうな顔でこの景色を眺めているということだけ。 『シャドウが元気になりますように。また優しく笑ってくれますように』 一番星にねがいごとをすれば、またシャドウは楽しそうにお話してくれるだろうか。 | |||
|