拍手一回目 帝国島国 英日
拍手二回目 海賊朝×海軍菊(R18)

となっています、苦手な方はご注意ください
















足音を下に敷かれた紅い絨毯に吸収されながら大日本帝国は長い廊下を歩いていた四角く嵌め
こまれた窓から見えるのは月明かりに照らされた見事な庭園でそこには屋敷の主が丹精込めて
育てた薔薇整然と並べられている、今は蕾だが朝になるとその肉厚な花弁をほころばせ辺りには
芳しい香りが漂っていた、大日本帝国は口には出さないが男の趣味がありとあらゆる所に散りば
められたこの庭園が嫌いでは無かった、最も言ってしまわないのは男の趣味が理解出来ると相手
に知られたくないからだ、大日本帝国と大英帝国は自他共に認める程仲が悪い。

そんな相手の屋敷に何故居るかというと今日は国同士の親睦を深める為の夜会が開かれていた
為で日帝は慣れない異国の地で異国の形式で異国の料理を食べる事を強いられた為外面には出
さなかったが大層肩が凝る思いをしていた、慣れない作法にも関わらず要人や弱みを知られたくな
い相手が出席している場で粗相をする事は彼のプライドが許さない連日徹夜で国としての職務を果
たし疲労が溜まりに溜まっているにも関わらず努めて涼しい顔をしているのも一重にそのプライドの
おかげと言える、夜会がお開きになり上司は国に帰るが国の化身は友好を深めるためと称して数
日間大英帝国の屋敷に泊まって行く事となっている、まだ完全に相手から解放された訳ではないが
部屋に戻り一人の時間を持つ事が出来た日帝に襲ってきたのは膨大な疲労感とそれに伴う眠気だ
った、このまま寝てしまおうかと一瞬考えた日帝だったが日本人の性というべきかどうにも風呂に入
らなければ気持ちが悪いと思い部屋の備え付けられていたバスルームへと足を運んだ、白の大理
石と金があしらわれた統一感のあるデザインはなかなか好印象だったがトイレや化粧洗面台が一緒
くたになっているのは頂けない、日本邸にあるいつも日帝が使用している風呂よりも大分狭いそこで
は寛げない、妙な所で神経質な日帝はかくして屋敷にある大浴場へと足を運ぶ事になった、彼が長
い廊下を今まさに歩いているのはこの為である

長い廊下を疲労による眠気で時折霞む目をしばたかせながら日帝は歩き大浴場へと足を踏み入れる
屋敷の主しか使わないらしいそこにはまだ誰も居ないようで日帝を喜ばせた、あの男の後に入る等吐
き気がすると一人呟き脱衣所で衣服を脱ぎ貸し切り状態のそこを思う存分堪能しながら身体と髪を洗
った後日帝は湯船につかる、巨大な円形の湯船は中央に三方向を向いた獅子の口から湯が吐き出さ
れ循環している、適度な湯はじんわりと日帝の体に沁み渡りその疲れを癒す、一人の空間、非常にリ
ラックスした状態が災いしてまたしても日帝に眠気が訪れる、湯船の縁に手をかけた状態だ、仮眠を
取るのも悪くない、疲れた思考によって間違った選択を選んだ日帝は無防備にも程がある格好で悪魔
の様に囁きかける眠気に負けて瞳を閉じてしまった






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ぐらりと体が傾いた後少しの浮遊感次の瞬間には口から鼻から大量の水が入ってきて私は驚いて目を
開くだがどこが下でどこが上なのか私は瞬時に把握できず水が入ってくる苦しさでもがくがそれはただ
手足をばたつかせるだけに終わる、苦しい、息が出来ない、水が、急激に訪れたこの状況の処理が出来
ず私はついにゴボと残りの空気を全部吐き出してしまう、目が霞む、その時力誰かに強く腕を引かれた
のを感じながら私は意識を手放した






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大英帝国は夜会の時から大日本帝国が不調だという事を知っていた、表には出していないが初めて見
たその時から大英帝国の心は大日本帝国に奪われていたのだ、いつもついつい視線で大日本帝国を
追ってしまう彼は僅かな変化も見逃さない、元々素直とは対極の捻くれた性格の上プライドの高さも邪
魔をしてなかなか本音を告げる事は出来ないが大英帝国は今の大日本帝国との関係を憂いていた、
会う度罵倒し合い獲物を向け合うのもそれはそれでなかなかに彼を楽しませたが彼の願う所とは駆け
離れている、夜会の後数日間友好深めるためと称して大日本帝国との時間を作ったのは大英帝国だ
、この機会に少しでもいい素直になれたら互いに歩み寄れればとの思惑だが相も変わらず会えば眉を
寄せられショックでこちらも攻撃的な態度を取ってしまった、一種の防衛反応のようなこれは厄介でなお
そうとしてもすぐに治るものではない、そう考えるとこれから数日先進展どころかますます事態が後退し
そうで大英帝国は大浴場に向かいながら人知れず溜息を吐いた

脱衣所に入ると既に誰かの着物がある、よくよく見てみれば黒に金があしらわれたそれは大日本帝国
が着ていたもので一気に大英帝国の心臓が跳ねた、自分の想い人が今この先の風呂に入っているの
だ平常心で等居られる訳がない、だが高揚したのも束の間でまた会えばいつものように罵り合いになる
だろうとその緑の瞳を僅かに細めて大英帝国は服を放り投げるように籠に入れ大浴場へと足を進めた

ひたひたと足音をさせながら奥へ進んでいくとバシャバシャとやけに騒々しい音が聞こえてくる、あの大
日本帝国がこの音をたてている他無いが英帝はそこに違和感を感じた動作に無駄が無くいつも凛とした
佇まいのあの男がこんな音をたてるだろうか、嫌な予感がして足早に進むと風呂の中で何か黒いものが
手足をばたつかせている、瞬時にそれが大日本帝国で彼は今溺れているのだという事を悟った英帝は普
段の落ち着きをどこかへ忘れ切羽詰まった様子で浴槽の縁へと走り寄り水面に出た手を掴み引き上げる
、何故風呂で溺れているのか彼が考える暇はなかった、引き上げられた大日本帝国はその白い肌を真っ
赤に染めて瞳を固く閉じている

「おい、日帝!聞こえるか?日帝!!」

肩を叩いて英帝が間近で叫ぶが反応は無い、軌道を確保しようと頭の下に英帝が手を入れたその時日
帝は自分で水を吐いた、だが意識は戻らない、呼吸がある事は確認できほっとしたのもつかの間日帝の
異様に体は異様に熱を帯びている、恐らく長時間ここに浸かっていたのだろうだとすればこれは

「のぼせたのか?」

その問いに答える者は居らず日帝のやけに苦しそうな呼吸が耳につく、こんなに弱った彼を見るのは初
めての事で英帝の眉間に深い皺が寄る、無防備に自分に身を預けるその体を抱き起こし英帝は衣服を
着る事もままならず屋敷の居る医者を叩き起こして日帝の様子を診させた、医者によると脱水症状を起
こしているかもしれないので水分をとらせ頭や足を冷やせば大丈夫だと言われた英帝は日帝の看病をす
るとの申し出断り、こいつの世話は俺がすると部屋から執事を退出させた、現在日帝は今英帝の部屋の
ベッドに身を沈め相変わらずの赤い顔で辛そうに呼吸をしている、英帝は普段の日帝に対する振る舞い
が嘘であるかのようにまるでガラス細工を扱うかのように日帝に触れ甲斐甲斐しく世話をする、その甲斐
あって明け方になる頃には容態も落ち着き日帝の呼吸は穏やかなものになっていた

「良かった・・・」

その言葉は常なら出る事無い英帝心からのもので彼は日帝の髪をやさしくかきわけその額に自らの唇を
落とした






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ふ、と意識が浮上し私は瞳を開ける、飛び込んできた見慣れぬ天井に上体を起こすとベッドの傍らの椅子
に大英帝国が腰掛け足と手を組んだ状態で瞳を閉じていた、聞こえてきたすう、という音で寝ているという
事は分かる窓から差し込んだ朝陽が男を照らしている所為で金の髪がきらきらと光り、整った顔の造形が
より鮮明に浮かび上がる、黙っていればまあ見れなくもない、ふとそこで私は昨夜の状態を思い出す、私
は確か風呂に居た筈だ、そこで眠気に負けて次に感じたのは水、息が出来ない苦しさ、これは溺れたと
見て間違いないだろう、なんて事だいくら疲労が酷かったとはいえ風呂で寝た挙句溺れるなんて、なんた
る不覚、意識を失う前腕を誰かが引いてくれた事を私は覚えている、助けられた、これは後でその者に礼
を言わなければと考えた時隣で衣ずれが聞こえる、大英帝国が目を覚ましたようだ、寝起きの彼の瞳はい
つものような覇気は無いその瞳が私を捕らえた瞬間大英帝国は上体屈めて私をきつく抱きしめてきた、い
きなりの行動に対処が遅れた私は男の行動をそのまま受け入れてしまう、大英帝国らしからぬ行動に目
を白黒させる私を置き去りにして彼は額と額をこつりと合わせ吐息がかかる至近距離で囁く

「良かった、日帝、良かった・・・」

英帝がここに居るという事は何が起こったか知っているはずだ英帝が起きて開口一番に言であろう言葉は
、極東の猿は風呂の入り方すら知らないのか?これだから後進は、等、内容は蔑む事ばかりだろうと覚悟
していた、だが男は私の身を案じるように言葉を紡ぐ、普段の彼らしく無い言動に圧倒されて私は突き飛ば
すのも忘れてただ男に身を任せていた、そのまま頭をに手を置かれするりと梳くように髪を撫でられる、愛し
い者を慈しむような動作に心臓が不規則な音を立てるこんなの反則だ、顔に熱が集中するのを感じて日帝
はさらに困惑する、仲の悪い相手に抱きしめられ撫でられたというのに不快感を伴わない自分に鳥肌が立つ
それでも何だか英帝の腕の中は居心地が良・・・いやこんなの可笑しい、私は彼が嫌いで彼も私を嫌ってい
るそれが事実だ、だからこんなもの、そう思って身じろぎすれば離さないと言わんばかりに力を込められる

「逃げるなよ」

有無を言わさぬものではなく懇願に近い言い方だった、耳をくすぐる甘い低音が毒のように沁み込んで体が
びくりと震える、顎を手で固定されますます逃げ場が無くなったこのままではみっともなく染まっているだろう
顔が見られてしまう、顔をス、と離されぼやける相手の輪郭が鮮明になるだがそれは相手も同じ事だ、居た
たまれず首を緩く振り逃れようとすれば相手は緑の瞳を悲しげに細めた

「そんなに嫌か?日帝」
「わ、私は・・・」
「俺の事嫌いか?」
「…ッ!!」
「なあ・・・」

日帝、と吐息のようにか細い声で呼ばれる、声を重ねる度に英帝の顔はこちらにゆっくりとだが確実に距離を
詰め今では唇が触れるか触れないか本当にぎりぎりの所に留まっている、普段なら押しのけれる筈が何故か
今日に限ってそうすることが出来ない、戸惑うばかりの日帝は寝ぼけた英帝に翻弄されながら僅かに芽を出し
た自分の想いに気付かぬふりをして迫ってくる英帝の唇を受け入れた









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