「・・・・・・潰れたら狼になりますよ。」
「潰れないんだよ。実は。貞操がかかると頭がさえるんだ。理性かな。この店ではキューをかしてもらえるのかな。」
女性提督はバーの壁に飾っているビリヤードのキューを見てバーテンに言う。
「どのキューになさいます。」「自分でみて探すよ。」スツールから降りて「少佐。9玉だが負けたほうが一杯飲む。やらないか。」
ビリヤードか。どう考えても自分のほうが上手だと思うけれど。ここでごねるのも得策じゃない。ポプランはアッテンボローが先にキューを選んでいいというので一本手に取った。でもナインボールだから運も左右されるし特に自分が下手な振りもしなくていいかとポプランは思う。女性が勝つのも大いにありうるゲームだしな。彼女に花を持たせるべきだと考えた。
「レディ・ファーストでブレイクショットをどうぞ。提督。」
さっさと慣れた様子でセッティングをする男に女は微笑む。
「逆にお前さんをつぶしてやろうじゃないか。」
・・・・・・じゃあ彼女が潰れたらモノにしようとほくそえむのは男。
彼女のブレイクショットで3が落ちる。ふうんと男は思う。まんざらできないわけじゃないらしい。打つときの姿を見ても何せ手足が長いから男相手に不利な点はない。ファウルでもないショットだからアッテンボローがそのままうつ。2を突いて玉が落ちればそのままプレイできるけれど、2以外の玉を突けばポプランと変わる。でもこのままでは他の玉が邪魔をしているからまず落とせないだろうと眺めていると。2玉を台のクッションを使い、ついて8を落とす。そして彼女はポプランに言う。
「お前、負けだよ。少佐。」
9ボールだから9の玉さえ落とせば勝ちである。
彼女は思い切り強く手だまを4につく。すべての玉がポケットにおちてゆく。勿論9も。そして手玉はいとも簡単に彼女の方向へ引いてくる。あれ。おれ負けましたね。彼女引き玉なんて朝飯前だったか。
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