振りかざす剣の、その意味を

浄化してきた、虚を幾万と
血を流して、仲間を失って
その目的は崇高で、その結果は耐え難いもの

・・・そのはずなのに

「どうした、顔色が悪いぞ」
「十四郎・・・、なんでもない」
「なんでもないはずないだろ」

いつもと違う真剣な声に少しうろたえる
心配してくれているのはありがたいと思う、その思いが
私だけに注がれるのならばもっといいのに

「・・・ちょっと、疲れて」

下手に否定するより、ありきたりな言い訳でごまかす方が十四郎は騙される
そんなことに気がついたのは、ずいぶん昔のこと
いつから彼に嘘をつくことを始めたのか
隠し事をして話さなくなったのかもう覚えてない

「ああそれでか、任務で帰ってきたばっかりなのか?」
「うん・・・」
「気分が悪いなら四番隊で見てもらった方がいいぞ、無理するな」
「うん、ありがとそうする」

十四郎は私が殲滅部隊にいたという事を知らない
誰が滅却師、人間殺しをしたのか分からなくする為、この時期多くの隊員が外に狩り出された
彼は知らない、だから笑ってられる
笑ってくれている
・・・滅却師、人間を皆殺しにしてきて気分が訳などない
多くの死神は人間を下等なモノだとでも思っているのか、殲滅しようとも疑問を抱かない

なんだろう、この任務は
死神は世界を守るためではなかったのか
死神は高貴で崇高なモノではなかったのか
それが、話が通じないといって、皆殺しなど・・・

「ねえ、十四郎」
「なんだ?」
「私達ってなにモノなのかしら」
「?」

(殺して殺されて、転生して生きて、また死んで)

「急にどうした?」
「なんでもないわ、ちょと謎掛けしようと思ったけど止めたの」
「出せばいいじゃないか遠慮するな」
「ううん、私も答えが分からない問題だから」
「答えがないのか、そりゃ破綻してるな謎掛けとして」

怪訝な顔をした十四郎に先ほどの雰囲気を払拭する笑顔を作る


騙されて
忘れて
気にしないで

十四郎は笑っていればいい


いつまでも、どんな時でも・・・それが私の救い
[ お題 : Arcadia.]



感想・誤字脱字・要望があったらどうぞ
あと1000文字。