はじめましての方も、またお手に取って下さったお方も、暑い中お疲れさまです!
夏と言えばココマ!
今回のココマはエロありません。恋のはじめ?みたいなのを目指しました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
あと、ペンネーム変えました。
『テロッツオ』から『てりイチ』です。
ぽってりイチゴ、略して、てりイチ。
どうかこれからもご贔屓のほど、よろしくお願いいたします。
(テロッツオのほうはヘタリア垢専用に致します。めんどくさくてすいません)
ではみなさま、残りの夏をどうかお体に気をつけて、熱く暑くお過ごしくださいませ!ありがとうございました!

「ちょっと、ココさんってば!」
「なんだい小松くん。ボクの邪魔をしないでくれるかい?」
「それはボクのセリフですよ」
なにが楽しいのか、ボクのお尻を枕にしてココさんが横になっている。
寝転んで雑誌を読んでたボクが悪いけどさ、でもそんなことされるとは思わなかったから。
「だって、小松くんは仕事で忙しいだろう」
ココさんがむっとした表情で顔を上げた。
「まあ、仕事と言えば仕事ですけど」
諦めて、読んでいた雑誌をしまい込んだ。久しぶりの休日に仕事を持ちこんだボクもいけなかった。
正式に告白を受け入れてから、なんとなく友人よりも濃いような日々をボクたちは送っている。
なにもかもが手探りで、小さな衝突を繰り返しては、それをすり合わせながらお互いの距離をはかっているところだ。
「ごめんなさい。今日はココさんと過ごす日でした」
起き上がってココさんに向き合った。
「邪魔したいわけじゃないんだ」
「はい、分かってます。だからこれはココさんに邪魔されたんじゃなくて、ボクが自分で考えてやるんですよ?」
「――小松くん」
ぽっとココさんの顔が赤くなった。それに気をよくして、手を伸ばす。たくましい胸筋がボクを受け入れた。そこに体ごと飛び込んで、ほっと息をつく。
「休みの日に仕事を持ちこんじゃうの、ボクの悪い癖ですね」
「それだけ真面目ってことじゃないか」
あぐらを組んだココさんの膝の上に頭を持たせかけた。大きな手が髪の毛を撫でてくる。
ココさんの手はとても丁寧に動いて絡まりあった髪の毛をほぐしてくれる。そうしていると、ボクはまるで自分が大きな猫か何かになった気がするのだ。
「でも、ココさんはちゃんとオンとオフがはっきりしてるじゃないですか。そういうの憧れますし、ずるずるするより仕事できるって感じがして」
ぴたっとココさんの手が止まった。ボクは催促のためににココさんを見上げた。うっ、まただ。ボクは息を飲んだ。
ココさんはボクを見下ろして、ほほ笑んでいた。ふにゃんと目じりが下がる顔にボクは弱い。
「な、なんでそんな顔――」
「小松くんに褒めてもらえてうれしいから」
照れたようにココさんは目を細めた。
うわあああああ!ココさんかわいすぎた。膝の上でおたおたと暴れるボクを不思議そうに見て、笑顔のまま、また頭を撫でてくれる。
「小松くんは本当にボクの顔、好きだよねえ」
「そそそ、そんなこと顔だけとかそんな」
「――顔だけなんて言ってないけど」
おかしそうにココさんはこぶしで口を覆っている。あっ、けっこう失礼なこと言ってしまった。自覚あるから、冷や汗が流れた。
「嫌いな顔より、好きな顔がついてた方がうれしいだろう?こう見えて観察力鋭いつもりだから、小松くんの好みを把握できてると思うよ」
ココさんが聞きようによっては、かなり怖い発言をしているのをボクは話半ばで聞いていた。

だって、ちょっと、考えても見て欲しい。
すごいイケメンが、柔らく笑いながら世界中でボクしかいないみたいな顔で見つめてくるんだよ?
息をするのも忘れるって、多分こういうことなんだと思う。
熱烈な恋人同士、っぽい感じでボクたちは見つめあって、それからココさんがうすく口を開く。ボクにはそれがある合図だ、ということが分かる。ボクはちょっと首を伸ばして、ココさんの方へ顔を向けた。

――ねえ、キスしていい?
――いいですよ

言葉を交わさずにするコミュニケーションの方法をボクたちは学んでいるところだ。これくらいのことは言葉にしなくても通じ合えるようになった。
やさしく柔らかくまたたく、夜空の星がボクを映して眩いている。ココさんという名の夜空ごと受け止めるために、ボクは大きく腕を開いた。


2014/08/24発行 しこSH!



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