拍手お礼SS


~きみといるしあわせ~(餡菌)




「ねぇ、ばいきんまん。僕は君に出会えて本当に幸せだよ」


これ以上ないくらい顔を綻ばせて、菓子パンヤロウは俺様の手を握る。


「君はわがままだし、悪戯大好きだし、悪さばっかりしてみんなを困らせる悪い子の時が多いけど、でも本当はとても優しい子だよね」


見ているだけで寒気のする満面の笑顔が近づいてきて、鼻先5cmのところでぴたりと止まる。


「君が見せてくれる、いろんな表情が大好きだよ。怒った顔も、笑った顔も、泣いてる顔も、どこか遠くを見ている時の顔も」


額がこつんとぶつかって、透き通った飴色の眼がゆっくりと瞬きをする。


「君と居られて、本当に幸せ。出会えて良かったって心から思う」


ねぇ、君は?


なんて、つまらない言葉が、唇のすぐ近くから降ってきて。


「俺様は」


俺様は、お前を倒すために日夜研究を重ねていて。


ドリルの使い方も、銅線のつなぎ方も、マシンのボディに最適な素材の扱い方も、日々どんどん進化していってる。


お前が正義の味方ぶるから、俺様は毎日お前に挑まないと気が済まなくて。


いつかそのまんじゅうみたいにペッタンコの鼻をへし折ってやろうと、暇さえあればいつだってシミュレーションしている。


お前と戦う瞬間には、いつだって心が躍っていて、


本気で戦ってるはずなのに、飴色の目が煌めく瞬間、ちょっとだけ昨日の夜のことを思い出してしまって、


昨日はあんなことしてたのに、今こうして戦ってるのってなんか不思議だな、なんて余計なことを考えたら、もう拳でぶっ飛ばされてて。


それは物凄く腹の立つことなのに、戦いが終わったあと、お前が何食わぬ顔で城に来るのを、なぜか当たり前のように思っているところもあって。


手が触れて、


体が触れて、


温もりを感じて、


お前に出会うまで知らなかった感情が、心の底からふつふつと湧き上がってくる。


倒したいのに触れたくて、


冷たくしても追いかけてくるのが、うざくて、でもちょっと面白くて、



それは、


「俺様は」


「幸せ」なんて言葉では表せられないくらい




「充実してる」






贅沢な、しあわせ。







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物凄く久々の更新でした^^;
超SSですが、甘々にしてみました♪

拍手ありがとうございました!!






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