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拍手本当にありがとうございます
お相手はDMCから弟君ですが、兄様もそのうち加勢します
そのうち三國勢も加える……やもしれません(笑
コメントも募集してます、resして参ります
それでは、どうぞ...
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ありがとう=あいしてる
「……本当に。過去にあなたの衣食住を保障してくれる女(ヒト)はいなかったの?」
この際、マナーの悪さには両目を瞑ることにしよう、うん、そうだ。いっそ見えなくなればいいんだ、その点限定的に。
彼の行儀の悪さに若干でも自分が絡んでいることは認めたくないし。その頃は自分も廃れてたし、しょうがないんだ、きっと。
ほら、人には誰にだって反抗期ってものがあるんだしね。と、誰に告げるわけでもない言い訳をつらつら浮かべてみる。
難しい年頃だったんだ、あの時は。それに感化されてしまったのだから、卓上に放り出されたすらっとした両足は――行儀良くなのか、交差させている――見せつけるかのように『どどーん』と置かれている有り様には、この際慣れるべきなんだろう。まぁ、実際に慣れてはいるのだが。
ついでに人間離れしているその容姿も相まって、椅子に深々座って足を組む構図が本当に絵になるから尚更困る。
この前なんかは『写真集でも出してみるか?』なんて笑顔で言われて『それもいいかもしれない』などと半ば本気にしてしまった自分がいるのだから色々本当に冗談じゃない。
実際に過去にスカウトされた彼は、それはもう、(惚れてる贔屓目を例え抜いたとしても)ムカつくを通り越して溜め息が出るほどに文句なしでカッコいい。
「オレは昔から一途なんだよ」
言外に「お前が一番なんだ」と、見ていた雑誌――悩ましげな女性がポージングを決めている雑誌――を山のように積まれた雑誌の数々の天辺にポイと乗せる。こんなものよりもな、と言い加えて。
その振り向き様の蕩けるような笑みに(今まさに何か言おうとした言葉を飲み込んでしまったように)何かを諦めたのは今に始まったことではなかった。
惚れた弱味なんだか知らないが、この笑みに勝てる自信が未だに持てない。「いい加減にしなさいよ」と真っ向否定・罵声を浴びせられるような勝ち気な女性は私の知ってる限り2人だけだ。
困ったヤツを好いたものだと、でもそれが至上の幸せであることは、女の笑みが物語っていた。
ダンテは首だけをそちらにぐるりと向け、洗濯物を抱えつつ思考は別のことを巡らせながらも器用に淡く頬を染めた想い人と視線を合わせた。熱っぽく交えてみたつもりだが、そこは彼女、多少の免疫がついたために怖じ気つかなくなっている。朝から『軽い運動』をするつもりはさらさらないと態度から推察するしかないようだ。
が、ダンテも彼女の目元の赤みに何も感じないのではない。この上ない幸せを表す笑顔は上へ上へと吊り上がる口の端がその証拠だあり、しかし思考ははるか昔に送りやっていた。
あまりにも様になる、ひどく家庭的なその雰囲気は彼女と『初めて』出会った当初を彷彿とさせてくれる。あの頃に恋をした自分から言わせてもらえば、その身をきつく抱き締め、ありったけの愛の言葉とやらを捧げて、結い上げて顕になった細く白い首筋に噛みつきたい。
そして夜まで「色んな形」で愛を囁いて―――なんて不埒なことを頭の片隅で考えつつも表情に出ないよう営業用の笑みを貼り付けるという器用なところを遺憾無く発揮していた矢先、彼女が足元にどさりと「重いなー」なんて洗濯籠を置く。中身の7割は自分のものだが、3割が彼女のものだ。『仕事』明けでもあって洗うものはとてつもなく多い。耳を澄ませばまだ洗濯機は働いているようで、大方それが『仕事明け』に加えて昨夜によるものだというのは言わずもがな理解している。
ニヤリと笑ってそちらを指差して
「今日のアイツは働き者だな?」
「…誰のせいよ、誰のせ・い?」
せっかく昨日洗ったのに、シーツは洗うのも干すのも大変なんだから、と愚痴をこぼすその横顔は幸せに色付いている。
怒った様子も何のその、八の字に下がった眉と諦めの色を見せる語調。加えてエメラルドの柔らかな瞳がゆるりと細められるものだから、己の思考全てが「愛している」というよく分からないような、けれど歯車のようにぴったりと当てはまる感情を結論付ける。
昨夜の耳元へ届けた気持ちも、寝起きのぼんやりとした表情に注ぐキスの雨も、俺を眩しそうに見上げて咲かせる笑顔も。
全てが愛しい。
「……、愛してる」
「ありがとう」と伝えたかった言葉は少しだけ形を変えた。
それでも、その根底にあるものは変わらない。
ほら、満面の花が「ありがとう、私もよ?」なんて歌うから。俺にも伝染してくる。
「…コレ、裏に持ってくんだろ?」
「あら、持ってくれるのかしら?」
「日頃と、昨日の『お詫び』ってヤツさ。それに、オレって紳士だし?」
「何で疑問系なんだか……言っとくけど、私は流されないわよ?」
腰に手を当てて威厳をアピールしても、嬉しそうなその顔が嘘をつかない。未だに不満なのか、のろけたいのか、思うことがあってか。
尚も何かを紡ごうとするその唇を自分のソレで素早く塞ぎ、籠を片手に鼻歌混じりで歩き出す。後ろで「…愛してるわ」なんてかわいい小声がくぐもって聞こえたから。
裏手に続く扉を開ける前に素早く抱き寄せ下からすくい上げて、驚きから自分にしがみついてくる細い腕に「me too」と思いを込めて、
今一度の解けることのない温かな口づけを。
fin.