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小さな記念日
「さぁて!今日は何の日でしょうーっ!?」
突然のコクレンの言葉に一同、カレンダーへと目を向ける。
「何って…、得になんか特別な日でもないと思うんだけど」
「ちっちっち。あまいねぇ、シューリ」
ハクレンが人差し指があったら左右に揺らしそうな勢いで言う。
「今日はオレ達のバス記念日だ!!」
「だからなんだぁあ!!」
シューリが双子の頭を、パコーンといい音をさせながら叩く。
いつの間にハリセンなんか出したのだろうか。
「バスに初めて乗った日だよっ!!人生長いんだから、記念って言うのは大事なんだよー?」
「そうだぜー!ちなみに明日はメリーゴーランド記念な!!」
「メリーゴーランドかよ;;」
ギャイギャイ騒ぐメンバーを、団長は傍目から見ていた。
「記念日かぁ……」
「ライムー。これ何?」
「あ?どれだよ」
まだスエアがやってきて間もない頃。
慣れていない家の中を探索していた時だ。
「あぁ。そういやカレンダー、先月のままだったな」
「カレンダーは良いの。それより、これ。これ何なの?」
カレンダーの一つのマスに、黒のペンでグルグルと印が一つ付いていた。
「あ?あー、それはおれの誕生日だよ。くそじじぃ、ああ見えてそういう所はマメだったからな」
「誕生日……」
カレンダーを見るスエアの目は、いつもの好奇心に溢れている目とは違った。
「…………」
(私の誕生日って、いつだろう………)
「うぅーん。やっぱり思い出せない……」
ただいま現在進行形で絶賛記憶喪失中のスエアは
名前以外何も思い出せないでいる。
それ以前に、私っていくつなんだろう
電車で子供料金払っても良いのだろうか?
遊園地では?……いや、そんな事を言いたんじゃなくて;
「はふぅ……」
自分のことなのに、名前以外に何一つ分からない
自分は何処で生まれた、何者なのだろうか
分からないことに、漠然とした不安を抱えている
トントン
「スエア。ちょっと来い」
「なに?」
ライムの後についていくと、リビングに通された。
真っ暗な部屋の真ん中に、一つの暖かな灯りがあった。
「……え?」
「…どうせ誕生日も覚えてないんだろ?だから」
振り向いた先にあるライムの顔は
「してやったり」という表現がぴったりな顔をしている。
「少し遅いけど、お前を拾った日を記念に、誕生日ということにしたらいいだろ?」
机の上の小さなケーキと、一つだけささっているロウソクを背にして笑っているライム。
「……食パン重ねて生クリームを塗りたくっただけのは、ケーキとは言いません」
「うっ……;」
「スエアは、なんか記念日ってないのー?」
ハクレンがスエアの横から顔を出してきた。
さらに反対側から、コクレンが顔を覗かせてきた。
「エア姉ぇだって記念日の一つくらいあるよなー!」
「普通はそんなに頻繁に作んないわよ!記念日なんて!!」
スエアは少し微笑む。
「そうね………」
このサーカス団が出来た記念日と……誕生日、かな………
*お題はこちらからお借りしました*
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