町には活気が戻ってきてる。 JS事件から、半年の月日が流れた。 六課解隊ももうすぐで、誰もが解隊後の生き方を見据え、その眩い未来に胸を躍らせていた。 JS 事件を通じて、皆かけがいのない経験をしていった。 私――高町なのはもその一人だ。 暫くは平和な日々が続くと、皆そう思っていた。 だけど、それは脆くも崩れ去った。 「フェイト・テスタロッサ、あんたは所詮私と同じ人形なんだよ!」 「違う、もう私は人形じゃない!!」 突如襲い掛かってきた敵。 「くっ、見事、だ……」 「シグナム副隊長の魔力反応、ロスト……」 プロジェクトFからの派生したとある計画――プロジェクト・N。 それは、究極の人造魔導師を作るためのものだった。 だけど、莫大なコストに見合う成果が得られず途中で頓挫した計画。 その忘れられた計画の亡霊が、私達に襲い掛かった。 「ヴィータ副隊長の魔力反応、ロストしました!!」 「ヴィータまで!?」 その計画によって作られた人造魔導師――ノヴァニオン。 彼女はとても強力な魔導師で、フェイトちゃん、シグナムさん、ヴィータちゃんと次々に名だたる魔導師を倒していった。 彼女の目的はまるでわからない。 襲った魔導師は所属、階級、戦闘スタイル、何もかも違う。 共通していることはただ一つ。 強いことだ。 彼女は、エース級の魔導師だけをつけ狙い、実力で叩きのめしていく。 「なのはちゃん、あかん!?」 「ごめんね皆……」 そして、六課で残ったのは私だけ。 ボロボロのこの体がどれだけ戦えるかはわからない。 だけど、私は戦わなければならない。 エースオブエースと言われた誇りにかけて。 私が望むのはただ一つ……。 ただ、それだけのために生かされてきた。 それだけのために生きてきた。 それ以外は最早どうでもいい。 それさえ成し遂げたのなら死んでも構わない。 私にはそれ以外は無いのだから。 結局、私はどうやっても籠の中の鳥のままだ。 全て忘れ去って新しい生き方を探そうとしたことも有った。 だけど、どんなことをしても頭に過ぎるとある言葉。 ――最強になれ。 あの男の言葉が、私の中から消えない。 だからこそ、私は最強にならなければならない。 そうでもしないと、この呪いは消えない。 最強になったとき、私は果たして飛べるだろうか? 「高町なのは……あんたに対しては何の私怨も無い。 だけど、最強の魔導師と言われるあんたはここで死んでもらわないとならない」 「最強なんて、何の意味も無いよ。そんなものよりも貴方には貴方だけの生き方が有るはずだよ」 「かもしれないわね。あんたの言葉は正しい。正論だ」 「なら――」 「だけど、それは人間の場合だ。 所詮私達は単なる戦闘兵器。そして、私はその最高傑作。 なら、最強という華を添えてあげるのが、あいつらに対する手向けだ!! だから戦え、高町なのは!!」 私は怒鳴りながら、私のオリジナルに向かった。 魔法少女リリカルなのは Stardust Dreamer 出会った形が違っていれば、私達は友達になれたのかもしれない。 だけど、そんな『もしも』は望まない。 ただ、今この瞬間だけが真実なんだ。 ――近日公開予定―― |
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