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拍手お礼SS 「コンクリート」  やまと



ふと、固まりかけのコンクリートの路面に異質な色が混じっているのに気がついた。
それは一匹のアゲハ蝶だった。
黄色と黒の幾何学模様が灰色一色の中で映えている。
翅を休めに降りたはいいけれど、固まりかけのコンクリートに肢をとられて飛び立てなくなってしまったのだろう。
必死に翅をはばたかせてもがいてみても、灰色の足枷からは逃れられない。
僕はつい足をとめて、その残酷な光景に見入っていた。
一面の無機質な世界の中で、鮮やかな翅はその蝶が今はまだ生きていることの証。
今はまだもがく力が残っているけれど、そのうちそれすらもできなくなるだろう。
力尽きてしまえばその綺麗なコントラストの翅も灰色一色に染まってしまうのだろうか。
有機的な色が無機質に飲まれていく瞬間。
このままずっとここでそれを見届けたい気もした。

ふと、ポケットの中の携帯の着信音で我に返った。
『もう待ち合わせの時間過ぎてるけど、いまどこにいるの?』
電話からは聞きなれた心地よい声が聞こえてくる。
「ああごめん、あと五分くらいで着くから」
そういって電話を切り、駅へと向かう道を歩き出す。
アゲハ蝶の方に目をやると、翅の羽ばたきが心なしか弱まっていたような気がした。








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