THANK YOU !!
こんにちは、モンモトです。
ここまでお読みくださり本当にありがとうございます!
長い間お付き合い頂き感謝の気持ちしかございません。
下記に短いですがオマケのお話を載せてありますので、お時間ございます時にお楽しみくだされば幸いです。
もしよろしければついでに一言いただけると幸せになれます…(私が)。
マントンでのお話なのか、ナミさんの故郷でのお話なのか、それとも全く別の場所なのか、そのへんはご想像にお任せ致します。
それではまたどこかでお会い出来る事を願っております。
モンモト
magic hour
柑橘系の果物の匂いに満たされた坂道を、駆け足で下る。
でこぼこな田舎道を転ばないように、手をつなぎながら、それでも走って、君と一緒に下る。
降りた先一面に広がる砂浜は夕日に照らされ、眩しいオレンジ色に光る波が美しく、潮風が少し肌寒くも心地よかった。
「あー間に合ったな」
「ギリギリだけどね」
意地悪く笑ってみせれば君は眉を下げながらも、私の手を決して離さないのであった。
「急かして悪かったよ」
「ほんとよ、転ぶかと思った」
「いやそれは、おれがさせないさ」
ふうん? と疑いの眼差しを送ると「ホントに、ホントに」と少し焦った様子で、それでもどこか余裕な表情で、風で顔に張り付いた私の髪をそっと耳にかけてくれる。
その手のひらに顔を擦り寄せ、確かめるようにサンジ君の香りをかいだ。
君は心底愛おしそうに私を見る。
その度私は深い深い瞳に飲み込まれそうで、飲み込んで欲しくて、少しだけ背伸びをして彼の唇に触れるだけのキスをするのだ。
金色に輝く世界の中、2人並んで歩く波打際の軌跡を振り返れば、足跡を海がさらって行くのが見えた。
遠くに行かないでと、少しだけ思った。
金色の世界に、二人で溶けてしまえれば良いのにと、これも少しだけ思った。
──バカンスが終わる。
だけどやっぱり、寂しくはあるけど悲しくはないのだ。
私達は大丈夫。
手をつないで少し前を歩くサンジ君の名前を呼ぶと、振り返ったそのままの勢いで私の腰を抱いて高く上げた。
金色はやがて鳴りを潜め濃紺が空を、海を、満たして行く。
この世界の最後の輝きみたいなフワフワの金糸をそっと包んで、その下のお顔をじっと見つめた。
次に会う時まで決して忘れないように。
好きだと言えば、彼も笑って好きだと言った。
end.