「あーずにゃん」

「あ、唯先輩。お久しぶりです」

「そろそろ、進路決める時期だよね~」

「はい。よくご存知で」

「憂が書いてたから」

「そうですか」

「あずにゃんは、もう決めた?」

「いいえ、まだです。だから、これから相談にいくところです」

「ふーん」


「で。なにか用ですか?」

「あずにゃん冷たい!」

「私は暑いです」

「あー、まだ白紙なんだ」

「だから相談――って、いつの間に!?」

「んもう、しょうがないなあ、あずにゃんは。じゃあ、私が代わりに書いてあげるね!」

「や、止めてください! それ、提出用なんですから」

「ふっふーん♪」

「返してくださいー!」


「書ーけた!」

「ホントに書きましたね!? しかもボールペンで!」

「はい、どうぞ。あずにゃん」

「もう、代わりのを貰って……あ――」

"希望進路""平沢家に永久就職"
「……ドヤ顔しないで下さい」

「え~! 一晩寝ずに考えたのに~!」

「私の進路を一晩で決めないで下さい!」


――後日。

「進路ですか? 一応、進学にしておきました」

「え~。私の意見は~。私の一晩の努力はどこに行っちゃったの~」

「まあ、唯の一晩は大学に受かっちゃうぐらいの凄さだからなあ」

「凄いのかどうか、よく分からんな……」

「あずにゃ~ん」

「……まあ。第二志望ぐらいには、しておきますから」

「あずにゃ~ん!」

「だから、抱きつかないで下さい!」

「ん~。どんな進路だったんだ、梓~。ところで、どうしたムギ? 幸せそうな顔して」

「ううん、なんでもないわ律ちゃん」

「(なんか知ってるな、ムギのヤツ……)」



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