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FAIRY TAILの小話。悪魔戦後のアクノロギアさん上陸前の小休憩中。ラクナツ






ラクサスに魔力を分けられたことによって、雷と炎を交えた雷炎竜の力を一時的に得る事が出来た。過去に数回経験した、炎以外の属性を体内に取り込んだ時の副作用。強大な力を得た時の代償ともいえる、体の負担。毎度、力を使い果たし、長い時間眠りにつくのだが、エーテリオンを吸収した時よりも回復が早かった。エーテリオンの時は、三日寝込んだというのに、今回は、ほんのわずか眠っていただけだ。時間にしても数える程でもなかった。

「また寝込むと思ったけど、早く回復して良かったね」

戦いによって破壊されたキャンプ場には新しくテントが張られ、体力回復のためにもと、手軽なものだが食事も準備された。
戦いの後のひと時を過ごしたナツとハッピーは、面々が集まっているキャンプ場所から離れた場所にいた。森の中にある薬草の泉へと向かう途中だったのだが、ハッピーが声をかけたことで足が止まってしまった。
ナツは体をほぐすように伸ばすと、にっと笑みを浮かべる。

「おお。前よりも全然平気だ」

体の傷は残っているし、手当も解かれてはいないが、身体の丈夫さは魔法も相まって化け物じみている。傷の痛みはあっても、意識を保っていたられるだけましなのだろうが。

「もしかして、慣れたんじゃねぇか?」

ナツが、ひらめいたとばかりに表情を輝かせるが、それに対してハッピーの顔は怪訝を含んでいた。

「慣れるものなの?」

「ラクサスの攻撃なら、何度も喰らってるしな」

得意気な表情のナツにハッピーは何も言葉が出なかった。ナツがラクサスの攻撃を受けたのは数え切れない程だが、自慢できる事ではない。
魔法の免疫力の有無など聞いたことがないからと、ハッピーが否定できずにいると、第三者の声が割って入ってきた。

「あながち間違いでもねぇな」

声と同時に、ナツの背後から腕が伸びてきて肩にかかる。ナツは、背後から腕を回してくる第三者を横目で見やった。

「ラクサス」

視線が交うと、ラクサスは口端を吊り上げた。

「前は、嫌ってほど食わせてやったろ?」

「何が?」

「俺の魔力だよ」

言葉の意味が理解できずに瞬きを繰り返していたナツだったが、ラクサスの喉で笑う仕草に、察してしまった。
ナツの顔が一瞬で赤く染まり、ラクサスの笑みが深まる。

「こっちの相性も悪くなかったが、魔力の方も相性が良かったらしいな」

ラクサスの手が、ナツのシャツの中に忍びこむ。肌に触れればナツの体が大きく跳ねた。節ばった手が探る様にナツの肌に伝う。腹筋をなぞり、徐々に上っていく手は少し荒れており、胸の突起をかすめると、ナツは息をのんだ。
ナツの手が、行動を止めるようにラクサスの腕を掴む。

「もしかして、忘れたか?ずい分薄情だな――ナツ」

ラクサスはナツの耳に口を近づけると、低く囁いた。
体を震わせるナツの耳に歯をたてようとしたラクサスだったが、ナツが首を動かしたことで叶わなかった。

「らくさす……」

小さく振り返ったナツの頬は、熱に浮かされたように潤んでおり、頬は紅潮していた。久しぶりの再会に、ラクサスの行動が加わって触発されたのだろう。ラクサスの腕に伝っていた手は力など入っておらず、縋る様に添えられているだけだ。
名を紡いだ唇からは微かな吐息がもれ、ラクサスは誘われるままに己の唇を重ねた。触れるだけの口づけが離れると、ラクサスはナツの身体を支えながら森へと入ってしまった。
二人の背を見送ったハッピーは、己の存在が忘れられていたことに衝撃を受ける事もなく、ただ揶揄する笑みを浮かべている。

「できてる」

ナツが戻ってきたら精一杯からかってやろうと企んでいると、キャンプ場にいたはずのルーシィが駆け寄ってきた。

「あ、ハッピー。ナツ、もう薬草の泉に行っちゃった?マスターから試験の事で話しがあったんだけど……」

悪魔の心臓の襲撃で中断されてしまった昇格試験の扱いを、マカロフが決断したのだろう。続行か中止か、可能性から考えて、ほとんどの者は見当がついているようだが。
ナツの向かった森の方へと視線を向けるルーシィに、ハッピーは吹き出しそうな口元を押さえながら口を開く。

「今行ったら馬に蹴られるよ」

「はぁ?」

わけが分からんと首をひねるルーシィを無視して、ハッピーは翼でキャンプ場所へと向かっていく。
その後、暫く経ってから、ナツがラクサスに背負われてキャンプ場へと戻ってきたのだった。











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