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----- 必殺技 ---------------
「必殺! グルグル魔球ーーー!!」
「必殺!! 大盛りホームラーン!!」
「光彦くん、元太くん! 遊んでないでおそうじてつだって!」
1年B組を、歩美の声が揺るがせた。
声自体は、それほど大きなものではない。しかし彼女が真剣に怒っていることが、その時教室にいた全員を驚かせたのだ。
ボール代わりの雑巾をホウキで打ち返す伝統的遊びに興じていたふたりも、もちろん驚愕の体で振り向く。その内ひとりは慌てて雑巾を回収すると、怒れる少女に頭を下げた。
「す、すみませんっ。今からちゃんと手伝います!」
そんな光彦にとは対照的に、ホウキを肩に担いだ元太は不満げに口を尖らせる。
「やらねぇとは云ってないんだし、ちょっとくらいいーじゃねーか」
不平をこぼす少年を、隣に並ぶ光彦が軽くつつき、次いでそっと耳打ちした。
「元太くん忘れたんですか? 今日の帰りに歩美ちゃんの家で、手作りクッキーを食べさせてもらえる約束でしたよ!」
元太にとって、これほど効果のある言葉は他にないだろう。
またたく間に顔色を変えて謝った友人に、歩美は頷くと表情をゆるめた。
「じゃあちゃんとおそうじしてね」
笑う少女の言葉のままに、ふたりは真剣に掃除に取り組みはじめる。
その一部始終を見届けたコナンが、ホウキを動かしつつ感嘆混じりに呟いた。
「必殺技って云うなら、歩美ちゃんの笑顔が最強だな」
「そうね」
同じく傍観していた哀が、小さく笑みをこぼしたのを認めて。
本当に必殺技だと、コナンは心の中で呟いた。
--------------- END - 090829 -----
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