+ヤタガラス+



「巫女サマ?眠っていらっしゃるのですカ?」

ワタシの眼下には木陰ですやすやと眠る巫女サマが居ル。

「…貴女は本当に呑気な方ですネ…」

手を伸ばし、指先で髪を撫でてやル。
いとも簡単に触れることが出来、いつもなら逃げられるのに、と自嘲シタ。

「今なら巫女サマを攫ってしまうことが出来そうですネ?」

ワタシの不穏な発言に呼応するかのように、生暖かい風が吹き出シタ。
それでも巫女サマは目覚めず、ただただそこに座してイル。

「貴女は逃げ出しますカ?
 それともワタシの寂しさを埋めようとしてくれますカ?」

貴女は当然のように答えなイ。
穏やかに寝息を立て続けるのを見て、ワタシは毒気が抜かれてしまウ。

「…フンッ」

巫女サマの隣に腰を下ろし、勝手に膝枕を拝借スル。
アマツカミの匂いが鼻孔を擽り、ワタシの心を落ち着かせル。


「今日はコレで我慢してあげますヨ」


本当はアマツカミによく似た、
巫女サマ自身の匂いも嫌いではないというのは悔しいから秘密にしておきマス。





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