■ 白月の夢 ■
【星→うさ】片思い設定。キンモク星帰還前後のかの人への想い。 “永遠に消えない、愛という傷痕” 「俺、お前のこと忘れないから」 「うん! あたしたちずっと友達だよ!」 ああ……この別れの時にさえ、君は何処までも無邪気で。 その無垢な笑顔はこの想いの息の根を止めようとするんだ。 「~~~……おまえなあ!」 「一本取られましたね」 「衛さん!……これからは、お前が守ってやれよ――――――――……なんてな。 これ、どっかの気障な奴が言ってた台詞!」 言いたかったのは、自分。 言われたかったのは、自分。 けれど、君がその隣を望むのは、自分ではないひと。 だから俺はこのまま行く。 それでも。 何者の手で、どのような軛(くびき)に繋がれようとも。 星々の戦いのただ中で、この命を絶たれる日が来たとしても。 ―――――この想いが消える日は、永遠に来ないだろう。 『俺は………お前の持っている光が。いや、お前自身が……』 言いたくても言えなかった真実の想い。 本当の、願い。 出口を失ったこの想いを、俺は永遠に背負ってゆく。 足元で、今は闇に眠る柔らかな緑がしなる。 豊かな自然を取り戻した惑星の静寂の時に静かに降り注ぐ、三つの衛星からの光。 吹き過ぎる風に誘われるように見上げた虚空に、映るはこの地にないはずの白亜の輝き。 透き通るほどに美しい銀盤が、彼の人そのものの眩さを湛えて咲き誇る。 それは心に灼き付いた、白い白い月の―――――記憶。 蒼い惑星の夢を抱いて微笑む、白い月の夢。 2012.5.27.仕上げ、2012.6.3.拍手UP |
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