神様の言うとおり『好みのタイプ』



「主上はどういった男性が好みなんですか?」

クーちゃんの質問に私は飲んでいた紅茶を盛大に吹き出した。
その勢いで紅茶は気管に突入。咽る私の背中をくーちゃんは必死に撫でている。

「きゅ、急にどうしたの?」
「いえ、最近主上のまわりに男性が増えてきたので
 いったいどういう方を選ばれるのかと興味がわきました」
「まわりにって…静雄君と臨也君と新羅君?」
「はい」
「あの中から選べって? くーちゃんは鬼だな…」
「悪魔です」

きっぱりと言い切るくーちゃんに冗談は通じないのだと悟った。
私はうーんと声に出して考える。

静雄君は優しくて格好いいけれど、ちょっと短気。
臨也君は頭が良くて格好いいけれど、性格に難がありすぎる。
新羅君はセルティさん一筋だからそんな目でみたことがない。

まわりの面子を考えるとセルティさんが一番ステキだと思うけれど
残念ながら彼女は男性じゃないからくーちゃんの質問への答えにはならない。

「主上、代わりの紅茶を入れてきますね」
「え、あ、ありがとう? 大丈夫? できる?」
「ずっと見ていましたから。ポルターガイストを消し散らすことより簡単です」

ポルターガイスト超逃げて。
カップを持って行ったくーちゃんの背中を見ながら、彼のことを考える。
優しくて、強くて、格好いい。自慢の悪魔。
ちょっと説教臭いけれど、いつも私を案じてくれる。
あぁ、そうか、私は…


「くーちゃんが一番好みかも」

帰ってきたくーちゃんは、私の答えに真っ赤になって固まって
折角いれてくれた紅茶を盛大に床に零してしまった。





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