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来世で女子はじめました☆『将来の夢』 ※跡部は幼稚舎に編入してきたことになっています。捏造注意。 誰もいない生徒会室で私は課題に頭を悩ませていた。課題提出日は明日。 目の前の原稿用紙2枚は白紙のままだ。たかが2枚、されど2枚である。 今回の作文の題材は『将来の夢』についてだ。 小学校6年生の将来の夢か。ほぼ100%そうならないであろう。普通なら。 しかし私は普通じゃない。何が出来るか、出来ないか、可能か、そうじゃないかがわかる。 私は自分が叶えられるであろう将来の夢を推察できるのだ。 もし私の今生の身体が前世より抜きん出た運動神経や頭脳を持っていたら それも違っていただろうが、私の身体は私の推察の範囲を出ない。 「無難な夢ってなんだろう…」 「何だ? 未だ悩んでんのかよ」 跡部君が急に私に声をかけてきたが、私は特に驚かなかった。 生徒会長である跡部君が生徒会室に来るのは予想範囲内である。 「未だって?」 「朝会った時からうかねぇ顔してたからな」 「君の洞察力には脱帽するよ」 「あぁ、作文か」 跡部君は私の机の上にある原稿用紙で課題を察したようだ。 もう提出したのかい? と私が問えば、当日に出したぜ。と言われた。 ちなみに何て書いたのかを聞けば、跡部財閥の後継者として歴代当主に恥じない成果をあげ、 具体的には20歳までに今の総資産を2倍にするらしい。 「具体的だね」 「数字が伴ってない目標になんの意味がある?」 小学校6年生とは思えない跡部君らしい返答が返ってきた。 しかし参考にならない。何にしようか。うーん。お嫁さん、と書くほどメルヘン脳ではないし、 かといってお堅く無難に公務員と書けば、母親ががっかりしそうだ。 「そんなに悩むなら俺が決めてやるよ」 「え? あ、ちょっと…」 跡部君に原稿用紙を奪われる。彼の万年筆がさらさらと淀みなく動いた。 万年筆じゃ消せないじゃないか、という私の不満そうな表情に 跡部君はニヤリと意地悪く微笑んでみせる。 跡部くんの手ずから返された紙には小学生とは思えない綺麗な文字が並んでいた。 『跡部景吾の右腕となり、最高の人生を送る』 私が手渡された紙に渋い顔をすると、跡部君は何の文句がある? と眉間に皺を寄せた。 「君の右腕なんて忙殺されるから遠慮するよ」 「アーン? 俺だって加減ぐらい知ってる」 「それにこれは数字が伴っていないんじゃないかい?」 「俺の案が嫌なら『お嫁さん』にでもすればいいんじゃねぇか?」 「生憎想像がつかなすぎて何も書けないよ」 「お前を相手にする男は限られてそうだしな」 跡部君がハンと鼻で笑った。なんと失礼な。 いや、そこまで相手がいないほどブスでもコミュニケーションがとれないわけでもない。 しかし、正直自分が男と結婚するなんて考えられなかった。 もしそうなったら卒倒しそうな気がする。 「まぁ、俺ぐらいの頭脳と器がなきゃ無理だろうな」 跡部君がにやにやしている。完全に私の反応を見て楽しむ気だ。 そうは問屋がおろさない。こういうのはスルーに限る。 「よし、弁理士とか税理士、技術職にしようかな。手に職は不景気にも強いしね」 「…お前、絶対結婚できねぇな」 空気読めよ、と呆れたような跡部君の声が聞こえたが、私はあっかんべーと軽く舌を出した。 初な女子をからかって遊ぼうとするような阿呆な男にはこれで十分である。 |
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