およそ3年ぶりのミクリン(?)拍手有難うSSです。
ご覧になって下されば幸いです。



―――♪―――

こんな気だるい夏の暑さとは真逆 寒くても心はポカポカしていたあの頃…

私達は『未完成同士の接触』を禁じられていながら求め合い月夜の逢瀬を繰り返していた…


「ふぃ~寒かった~今日月が凄い綺麗だった~♪」
「ね~でも冬は寒いから長いこと見てらんないのが辛いね」
「うん、あ、それよりRINのお部屋にまで入ってバレないかな~」
「部屋にまで監視カメラとかは無いし大丈夫っしょっ ま~MIKUが冷えた身体のままお帰りになられたいのでしたら引き留めないけど?」
「うーっ…」
「とにかくベッドに入りなよ夜中だから暖房使えないし」
「うん…」


ゴロンと横になって毛布をめくって私の場所を作ってくれて待っている。
しさが込み上げ蕩けるようにベッドに吸い寄せられた。

「えへへ♪ あったか~い♪」
温もりと甘い香りに包まれる。
じんわりと広がる幸福感。

「なんだか甘い香りする~♪」
「え?あぁ、今日寒かったから『あいすきゃんでー』作ってたんだっ」

ベッドから這い出し嵌め型の窓の縁に置いてあった試験管立てをいそいそと持ってきてくれた。
試験管にはカラフルな液体と真ん中に棒が刺さってて 薬品の臭いはせず 甘い匂いが漂ってる。

「まだ完全に固まってないケドその方が美味しいかも」

「良かったらどーぞ」と試験管立てを差し出す仕草が可愛かった。
オレンジの香り RINと同じ香りの試験管を手にとってみた。
完全に固まってなかったからか苦もなくスポリと『あいすきゃんでー』が取れた。
口に含むと爽やかな甘さと冷たさが潔く喉に消える…
と思った瞬間 スポンと『あいすきゃんでー』から棒が抜けて口の中に『あいすきゃんでー』が丸々残る形になった。
口の中が一気に冷える。


「んーっ!」
「あ!一気に食べちゃってもうっ」
RINが慌てて水をもってくれてる間に口いっぱいに広がる冷たさに悶えてると 引き抜いた『あいすきゃんでー』の棒の文字に目がいった。

―“あいしてる”―

憶えたての言葉―『好き』より『大好き』より凄い言葉、特別な言葉。
それが大好きな人からのだと思うと真冬なのに身体中が沸騰しそうな位に熱い。

「あ、あ、えぇっと、その…いつもさ、『大好き』って言ってもらってるからさ…でも私あんまり言ってないから…」

真っ赤になってぽつりぽつりと紡がれる言葉が嬉しくて抱き寄せた。コツリと額がぶつかった。

「いつか、聞かせてね♪」
「うっ!…それは~正式に『VOCALOID』になったらね…;」
「え~っ」

間近にあるRINの顔。吐息か首筋をくすぐる。
私は知ってる…束の間の幸せだったとしても…二人でいる幸せを…



―2012年8月31日―

「リ~ンちゃん♪こんなトコロで何してるの?」
「あぁ、お姉ちゃん?ちょっと月を見て…って!パーティーの主役がこんなトコロに居ちゃダメだよっ!」
「え~ もぉお開きになったんだからいーじゃない♪ もうお偉いさんがひっきりなしで疲れちゃったし♪」
「オフレコで勧めたい話とかお近づきになりたい人とかいるんじゃないの?まだ」

「お近づきになりたいのはリンちゃんだけだも~ん♪今年は特に忙しくてふたりっきりになれなかったし♪」
「…/// …まぁお仕事の話はMEIKOお姉ちゃんに任せてるいいか…」
「そうそう、う~ん 夜風が気持いいね~♪」
「もうなんだかんだいって秋なんだね~」
「もうすぐ冬が始まるね~」
「…お姉ちゃん冬が好きだからって気が早すぎ…ぁ…」

呆れ顔のリンちゃんを抱き寄せた。

だって5周年だって昔の事ばっか話題に出すンだもん。
リンちゃんがいなかったあの頃を思い出して寂しかったよ。
すぅっと顔がリンちゃんへと吸い寄せられる…


「こーらっ人に仕事押し付けて何やってんだ二人とも!」
「「MEIKOお姉ちゃんっ!」」
「ミクだけじゃなく私達VOCALOIDの将来に関わる話よ 独断で決めるのは難しいから早く戻って」
「「ルカお姉ちゃんっ」」
「さっ早く戻った戻った」
「うぇ~っ…そう言えば、MEIKOお姉ちゃんって冬が好き?」
「はぁ?いきなり何よ ま、嫌いな方かな 寒いし」
「え~?嘘だぁ~だって誰かさんの誕Jy…いででで」
「はーい無駄口叩いてないでさっさと戻る!」

こめかみにグーでぐりぐりされた。
痛みに堪えてMEIKOお姉ちゃんの顔を見るとベロベロに酔った時みたく真っ赤になってて ルカお姉ちゃんはその様子を穏やか笑顔で見つめていた。

「は~『僕はロミオ 君はジュリエット こいつは正に大迷惑♪』」
「引き裂いて悪う御座いましたね 数時間の辛抱でしょうが」

またも首根っこ掴まれ引き摺られるようにパーティー会場へ戻っていった。
その時に夜を明るく照らす銀色の月が見えた。


―――今日は“ブルームーン”4人のVOCALOIDが寂しさ 片想いの心苦しさに涙を流す姿を知る月は 幸福そうに笑う姿に安堵しているように私には見えたんだ。



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