アカリ:雪だるま!
シュウ:うお!いきなり何?
アカリ:雪だるまだよ!作ろうよ!いますぐ!
シュウ:待て待て、冬って言っても、まだそこまで雪積もってないだろ。
アカリ:何言ってるの!私が昨日積もらせたから大丈夫!
シュウ:どんな権限持ってるんだよ!
アカリ:とにかく、外に出ようよ!外に!
シュウ:なんでこんなにテンション高いんだ……
アカリ:わ〜!一面の銀世界!
シュウ:そんなに犬みたいに走り回るなよ。
アカリ:あたしが犬なら、シュウは猫だね。
シュウ:なんで?
アカリ:シュウは外に出るまでコタツのなかで丸まってたじゃんか。
シュウ:丸まっては無いけど。
アカリ:シュウは雪を見てなんとも思わないの?
シュウ:別に……そこまではしゃぐもんじゃないだろ。雪が降るのは自然界の普遍事実だよ。
アカリ:あたしは雪を見ると、外に出たくなっちゃうよ〜!
シュウ:子供だなぁ……
アカリ:子供だもん♪
シュウ:そこは開き直らないほうがいいんじゃ……
アカリ:ほらほら!とにかく、雪だるま作るの手伝ってよ!
シュウ:はいはい……うわ!冷たい!アカリ平気なの?
アカリ:ん?
シュウ:って、いつの間に手袋を……
アカリ:手袋は持参だよ?
シュウ:こういうところだけ用意周到だもんなぁ……
アカリ:ん、しょ。ん、しょ。
シュウ:じゃ、いちど手袋を取りに戻るから。
アカリ:ん、しょ。ん、しょ。
シュウ:聞いてない……
アカリ:あれ?いつのまに手袋を……
シュウ:本当に気づいてなかったのか……
アカリ:ま、いいや。とにかく、手袋があるなら手伝ってくれるよね?
シュウ:しょうがないな……
アカリ:じゃあ、シュウは下の土台のほうを作ってね。
シュウ:土台のほうが重いからって……作りたがってる張本人がそれでいいの?
アカリ:ん、しょ。ん、しょ。
シュウ:また聞いてない……
アカリ:…………
シュウ:…………
シュウ:よし、こんなもんかな。
アカリ:シュウは出来た〜?
シュウ:うん。こんくらいでいいだろ?……うわ!
アカリ:あ!また手抜きしたな〜?ダメだよ、こんなんじゃ。
シュウ:アカリの雪玉がでかすぎるんだよ!どんな雪だるま作る気だ!
アカリ:家ぐらいの高さの……
シュウ:いやいやいや!そんな大きさ困るんだけど。
アカリ:え〜!どうすればいいの?
シュウ:せめて、アカリの雪だまを土台にすれば、妥当な大きさになるんじゃない?
アカリ:むぅ〜……しょうがないな〜……
シュウ:そう言いながらどんどんでかくするな!
アカリ:とりあえず、雪だるまは完成したね。
シュウ:なんとかね……
アカリ:よし!じゃあ次行ってみよー!
シュウ:まだなにかするの!?
アカリ:はい、スコップ。
シュウ:そんなものどこから……
アカリ:次はかまくらだよ!
シュウ:え!?かまくらなんて、作るのにどれだけの雪と時間がいるのか……
アカリ:つべこべ言わずに雪を集めて!
シュウ:う……は、はい……
(雪を集めながら)
アカリ:ところでさ、シュウ。
シュウ:ん?
アカリ:冬休み、何か宿題あったっけ?
シュウ:結構あったよ。
アカリ:でぇ〜!またあるの?
シュウ:そりゃあるでしょ。春休みならまだしも、冬休みにはね〜。
アカリ:やっぱり春のほうがいいな……
シュウ:宿題の多さで区別するのはどうかと思うけど。
アカリ:そうだ、大晦日だけどさ。
シュウ:うん。
アカリ:なにか用事ある?
シュウ:ん〜、いや?特には。
アカリ:ならさ、一緒に初詣行こうよ。
シュウ:あ〜、大晦日のときから神社に行っておくわけ?
アカリ:うん。そのほうが、夜が明けてからいくよりも、人少ないでしょ?
シュウ:確かに、楽かもね。
アカリ:一緒に行かない?
シュウ:うん、行ってもいいよ。
アカリ:よし!じゃあ、そのときに年越しそばも食べようね。
シュウ:神社の近くにそばの店あったっけ?
アカリ:あ、いま「近く」と「そば(傍)」をかけた?
シュウ:かけてないよ。わかりにくいだろ、そんなの。
アカリ:「かけた」だけに、年越しそばはぶっかけそばで行こー!なんて。
シュウ:………
アカリ:そこ無視しないでよ〜!
シュウ:ほら、余計なこと言ってるうちに、結構雪集められたよ。
アカリ:あ!結構集まったね!
シュウ:じゃ、少しずつ固めていこうか。
アカリ:ラジャー!
シュウ:ふぅ……
アカリ:すごーい!ちゃんと中に入れるようになってる!
シュウ:これがお望みのかまくらですか?
アカリ:うん!シュウ、ありがと〜!
シュウ:結局、作ろうって言い出したのはアカリなのに、作ったの僕になっちゃったな……
アカリ:いやいや、でも作ってる間楽しかったよ!
シュウ:力作業ばっかりだったから、アカリはほとんど動いてないけどね。
アカリ:へへへ。
シュウ:さて、雪だるまも作って、かまくらも作って、もう雪ですることは何もないだろ。
アカリ:まだあるよ!
シュウ:え!まだ何かするの!?
アカリ:雪といえば、雪合戦に決まってるじゃない!
シュウ:あ〜、それがあったか……って、イテッ!
アカリ:ははは、油断大敵ですよ〜、シュウくん。
シュウ:奇襲するなんてずるいじゃないか!
アカリ:「先んずれば人を制す」って言うじゃん。
シュウ:あれ、なんでそんな言葉知ってるの?
アカリ:なんでもいいじゃん!えいっ!
シュウ:うわ!この〜、やりやがったな〜!
アカリ:ひゃ!シュウが本気モードになったぁ〜!
シュウ:それ!
アカリ:わ!負けないよ〜!えりゃ!
シュウ:うわっ!
アカリ:えへへ、シュウ、なんだかんだ言って、結局楽しんでるね。
シュウ:う!そ、それを言わないでよ!
アカリ:あれ?何?恥ずかしいの?
シュウ:は、恥ずかしいわけないだろ?
アカリ:ほら、そこの雪で顔冷やしたら?
シュウ:ぐ……バカにしやがって〜!
アカリ:あははは!はわっ!
シュウ:ここからが本番だからな!
アカリ:望むところよ!
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