His disappointing smile ill-matched last




 語り継がれる男が居る。
 風に砂舞うエストランドの全土で、伝説のように語られる男が居る。
 救った命は数知れず。シェリフから逃れた回数も星の数。まるで天が彼に味方したようだった、と。
 当人が聞いたなら、きっと笑い飛ばしたろう。
 天が俺の味方をしたんじゃない。俺が天に味方してやったんだ──と。

 彼を語る者達は皆一様に、物語の最後をこう括る。
 ジョッキを飲み干し、空になったそれを力強くテーブルへ叩きつけながら。
 身を僅かに乗り出し、時には涙ぐんでさえ。

 ──あの英雄は、あの偉大なるガンマンは、死ぬその瞬間までも、立派に笑ってみせたんだ。



Junk potより:マグナム・ラストン
タイトル:Overture様より、「呆気ない最後に不釣り合いな」



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