突然ですが大変です。

ヴェイグが頭を打って記憶喪失になりました。


「…」

「…本当に俺がわからねぇのか?」

「……すまない」

「…そ、そっか。仕方ねーよな!まぁ、いつか思い出すかもしれねぇし…ッ」



宿屋にて治療を受けて二人っきりになる。

周りのみんなが気を利かせてそうさせてくれたみたいだが、今の俺にしてみれば耐え難い状況だ。

必死に笑顔を取り繕って悲しいを誤魔化す





「…君は、俺の友人だったのか?」

「……(友人…)」



友人、ではなかった

俺とヴェイグは恋仲だったし、それっぽいこともしたことがあった。

お互いにお互いを認め求め合った中だったのに

今のヴェイグには何も残ってない。それが無性に悲しくて涙が出そうだった

でも、ヴェイグに悟られるわけにはいかない



「おう!俺とお前は無二の親友だ!だから、お前の記憶は俺が絶対に取り戻させてやるから、だから―――」



今の自分にできる全開の笑顔をヴェイグに向ける。

今の俺にはこれぐらいしかできない



「心配すんじゃねぇぞ!」

「……」



強がっては見たものの少しだけ涙腺が緩んで涙がこぼれそうだった。

頭を振って誤魔化してヴェイグの隣に座る。



「・・・ティトレイ」

「ん?」

「あまり無茶はするなよ」



思考がショートしかけた。

それをお前が言うか。記憶を失ってクレアのことも仲間のこともみんなみんな

俺のことも忘れてしまったお前がそれを今言うのか

―――今の、今のだけは…!



「…お前にだけはいわれたくねぇよ」

「ティトレイ?」



絶えられなくなって立ち上がりヴェイグから距離を取る。

ヴェイグも不審に思ったのか立ち上がり俺に近づこうとするが俺はそれを拒むように振り払う



「なんでもねぇよ!―――ってぅわぁ!」



ヴェイグを振り払うと不覚にも足元がふらつきそのままヴェイグのほうに倒れこむ。

倒れこんだ先がベッドだったため、大事にはならずには済んだが押し倒してしまったヴェイグから苦痛の声が聞こえる。



「大丈夫か、ヴェイ―――」



近すぎる距離に一瞬だけ言葉を奪われる。蒼い瞳がこんなにも近くて

こんなに近くなったのはいつぶりだ―――?

思わず触れたくなるの衝動を押さえ込んでまた顔に笑顔を貼り付ける



「…わりぃ…頭打ってないか?」

「…―――」



体を起こして距離をとろうとしたらヴェイグに腕を引っ張られそのまま唇が重なった。



「え、おい―――」



触れたところが急に熱くなって勢いづけて距離をとろうとしたのに更に強く引き寄せられて

ヴェイグに覆いかぶさるまま唇を奪われる。



「ぷはぁ!お、おい何す―――」

「ティトレイ」

「あんだよ!!」



そのまま抱きしめられて身動きが取れなくなる。



「・・・ヴェイ、グ?」

「・・・」

「・・・・お前、まさかとは思うけど記憶が…」

「……お前の顔を見ていたらキスしたいと思った実際キスをしてみれば柔らかくて甘くて」

「もうそれ以上喋るな」



ヴェイグからの口説き文句らしきものに堪えられなくなって手で口を塞いでしまう

しかし、逆にその手をペロリとなめられて反射的に上半身を起こす



「いやらしいお前がもっと見たくなった。見たらきっと記憶も-――」

「戻るわけねぇだろッ!つかもう戻ってんだろお前ぇ!!!」



一発殴ろうかと振りかぶったところをまたまた捕まえられてそのままベッドに引きずり込まれた。

抱きしめられる腕の中が前と同じで安心してしまい俺は逃げられなかった








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