いつもご訪問ありがとうございます。



お礼SSです



恋するオトコたち



ヤマト艦内時間、深夜。
その時間帯に、ジムでトレーニング中の男が三人、顔をつきあわせて、話し込んでいる。
何の相談ごとかと思いきや、中身は男子高校生並みの可愛いものだった。



「オレは、声を上げる間もなかった。そいつはヒタヒタと走り寄ってきたかと思うと、あっという間に鷲掴みして持っていきやがった」
「……持って行かれた後も、しばらく気づきませんでしたからね、隊長は」
「ああ。全く。情けないことに」
「それで、加藤はいつ気づいたんだ?」

「突然だよ。ある日突然にだ」
加藤は、持っていたコップの水をストローで吸い上げて一飲みした。
「あの時の加藤隊長は面白かったですよ」
「言うな、篠原」
加藤と篠原の息はぴったり。
篠原の合いの手を入れるタイミングは、加藤の気持ちを盛り上げる役目を果たしている。
自分から進んで、この手の話はしない加藤が気持ちよさそうに話すのは、相手が篠原だからかもしれない。

しかし。
まず、加藤と篠原の二人だけなら、こんな話にはならなかっただろう。
二人がトレーニングしているところに、古代が加わって、ひょんなことから
男だけの恋バナが始まったというわけだ。
加藤ほどではないが、古代も古風なところがあるのか、自分の話をすることは少ない。
そんな彼が、プライベートな会話に加わったことに、加藤と篠原も意外だと思ったと同時に
彼自身に対して、個人的な興味を持ったのだった。

「ある日、突然……」
加藤の言葉をオウム返しにし、考え込んでしまった古代に、加藤が目を光らせた。
「そうだぞ、突然襲ってくるぞ、あの感情は」
「そういうものなのか……」
古代は無意識に、白いTシャツの胸の辺りを、きゅっと掴んだ。

「昨日まではなんともなかったんだよ。それが、だ。さっき会ったばかりなのに『あれ? オレ、ちょっと嬉しいとか思ってね? また逢いたいって思ってね?』と、なる」

「加藤、おまえもかっ!」
古代は身を乗り出す勢いで、加藤の手を取り、強く握った。
「お、戦術長どの?」
面食らった加藤は、<この人、どうすりゃいい?>と篠原の方を見たが、副隊長も可笑しそうに笑っているので、なりゆきに任せて、自分も固い握手を返した。

古代の方はというと。
まるで、雷にでも打たれたかのようである。
加藤の言葉が、電流のように全身を駆け巡り、指の先まで痺れさせ、彼の眠っていた感情が
呼び起された瞬間だった。

「いつの間にか、彼女を目で追っているんだ。これが、そうなのか?」
古代はそう言うと、何かを漲らせた掌をじっと見つめていた。

「戦術長、それが、恋です」
この場で一番年長者の篠原は、そう言って古代の肩に手を置いた。








*****

100000HITありがとうございました!
突発ですが、今まで訪問してくださったお方様への感謝の気持ちを込めて。

ありがとうございました!



2016 0216 hitomi higasino