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2016/4/3 お話しを差し替えました。

『木に登りて眺めしこと』




浩瀚は回廊に佇み歓声を上げて遊ぶ子ども達、陽子と蘭桂を眺めていた。
「候。どうかなさいましたか」
そこへ桓魋がやってきて声をかける。
「その呼び方はやめろ。主上はもう十七であられたはず。存外幼い面があるものだと思ってな」
「ああ、そのことですか」
「何か知っているのか」
浩瀚は無表情で、桓魋は浩瀚が好悪どちらの感情を抱いているのか図れなかった。
「ええ、まあ。主上は幼いころあのように男児と一緒に野山を駆け回って遊ぶのを禁じられていたそうですよ。
ご両親に。女の子は淑やかであれと。だけど、本当は男の子と一緒に木登りがしたかったそうで」
「木登りか。私も好きだったな。高いところから遠くを眺めるのが」
「今と同じですね」
「どういう意味だそれは」
浩瀚は微苦笑を浮かべる。
「深い意味はありませんよ。それにしても、主上と同じようなことを仰るのですね。
あの方も、木の上からならずっと遠くが見れるんじゃないかと思って、木登りをしてみたかったらしいです」
「そうか。あ、転ばれた」
「あーあー、裾を自分で踏まれましたね、あれは。あんな恰好で遊ぶから。
あのお姿から淑やかな主上というのは想像できませんよ」
その桓魋の言葉に浩瀚は表情を消した。
「そうなる程の経験をなさったのだろう。世界がそうさせてしまったのだろうな」
「そうですね。ああも無邪気なお姿を見せて頂けるのは、奇跡のようなものなのでしょう」
桓魋はふとしんみりと答えてしまい、目を反らした。
「おい、あのままでは泥遊びになりそうだが止めなくていいのか?」
「えっ! だめですよ、女たちに怒られる」
慌てて顔を上げた桓魋は、御前失礼しますと子ども達の元へと駆けていった。
「あいつが怖いのはあの公主の方だろうな」
視界に三人を捉えた浩瀚はくつくつと笑いを漏らした。
主上ならば木に登って何を見るのだろう。
私はこの世界の果てを見たかったのだ。




   



坩堝 -別館-
MELTING POT -坩堝-



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