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『君の色は』



「……雨、だね」
「だな」

 少し前までの青空はどこへやら、窓の向こうは突然の大雨にけぶり、確かにそこに在るはずの「あの塔」すら霞ませる。

「つまんなさそうな顔してっけど、そんなに嫌か、雨」

「子ども達と外で遊ぶ約束をしてたから」

 外を見やるリディアの横顔は、心底残念そうで。

「……っ、やっぱガキだなぁオメーはよ!」

 ――面白くて仕方ない。

「子どもじゃないもん!」
「そういうトコが子どもなんだっての!」

 ちょうどいい高さにある緑の髪をかきまわせばむくれて見上げてくる。
 そんな他愛無い仕草すら、全部。

 ……あぁ、怒って行っちまった。



 この景色を眺めとくのも悪かないぜ。
 えー、何だ……そう、大人の楽しみ方ってやつだ。

 この窓からじゃ、水平線は見えないし、お前に見えたモンと言えばうっとうしいあの塔と、山と草原と――でもな、雨があがって陽が差す頃にはな、それはそれは綺麗な色になる。あの塔さえ霞ませる、新しい季節の色だ。



 もっとも、俺にはさっきまでもっと綺麗なのが見えてたけどな。
 ……あぁ、雨はいつあがるのやら。



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