あなたに触れる手が震えるのは仕方ない。自然の摂理。だって恋をしてるから。
「今日はやれよ、斑目」
「……」
「あぁぁ!少しは返事しろよ!!」
「……」
口は開けない。開いたら言葉にしちゃいそうだから。あなたの目を見て話せない。
「もういいよ。とりあえず、この問題でもやってくれ」
すぐ諦める。そしてぶっきらぼうに目の前に投げ出されるテキスト。僕は開く。開いて分かった。
「…手作り?」
僕が言葉を口にしたから驚いたのか、少し体制を崩した。
「…あ、あぁ。お前らのレベルに合う問題は手作りレベルじゃなきゃないからな」
そう、少し驚き、少し偉そうに口にする言葉が胸に響いた。
「…やる」
「は?」
「この問題、やる」
「…あぁ、やってくれ」
あなたはそういって窓の外を眺める。そしてなにやら口にしている。
「何が悲しくて夏休みにこうして学校で…しかも、野郎と勉強してるのか…ホント俺ってさぁ…」
いつものように愚痴り、それは僕にとってはとても心地よくて。
夏休みに一緒にいれる。それだけで僕にとっては十分。でも、ホンの少しだけ先にも進みたい。
だから
「…触りたい」
「あ?なんか言ったかまだ――っ」
「…好き」
僕の行動にあなたがどう出るのかなんて分かる。動揺して目を白黒させて。
夏休み。誰も居ない教室。
僕とあなただけの秘密。
今回はこれぐらいにておかなきゃあなたの頭がパニック起こしちゃうから。
夏が終わって、少しだけ僕の事を意識してくれたら、もう少しだけ先に進める。
だから、夏が終われば…もう少しだけ僕は強引に行くから。
その覚悟だけ、でとさっき触れた唇に人差し指を置いた。
mizuki×sanada
TITLE『だって、恋をしてるから』