足首がずきずきと痛い。
膝も擦り剥いちゃったし。さっきまで血が出てた。
泣きそう。もう泣いてるけど。
うっすらと浮かぶ涙の向こう、夕日が揺れている。
何もない私たちの故郷は、いつだってやさしい。

大きな背中に全てをあずけて、いつもよりちょっと高くなった視線。
エドが歩くたびにあたしも揺れる。あの夕日と一緒に。
「…エド」
「あ?何泣いてんだよウィンリィ。そんなに痛いのか?」
「ううん…」
声まで伝わって、エドにも知られて。
分かんないよ。
あたし、なんで泣いてるの?

あたしをおぶった背中は大きくて硬くてあたたかくて。
ただただそれが、…それが。
(…あったかい…)

沈んでいく夕日、もうすぐさよなら。またあした。
流れた涙が、エドのシャツをほんの少し濡らしてしまう。
遠くに見えた一番星。
きっともうすぐ家に着くはず。デンとアルとばっちゃんが待っている家に。

「ウィンリィ、寒くねぇか?」
「だいじょうぶ」

だいじょうぶ、って言ったのに。
エドは一旦立ち止まると、持っていたコートを器用にあたしにかけて、またおぶり直して歩き出す。
コートのぶん、さっきよりもエドのにおいが近づいた気がして、安心する。
抱きしめられてる時みたいに、すうっと心が落ち着く。
いつも遠くに行ってしまう背中が、今はこんなにも側にある。

「エド」
「なんだ?」
「エド、すき。すきだよ…」

そういったら、エドの腕に力が篭って。
少ししてから、照れた声で「俺も」って聞こえたから、あたしはまた泣いた。







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