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◇バルヨナ/つこみ→ノマル


 ノマルが眉を顰めたことに気付けるのは恐らく自分だけなのだろうと思うと、小さな優越感が胸をいっぱいにする。あまりに僅かすぎる変化で、誰も気付かないだろうと思った。きっとノマル本人でさえも、自覚はしていないだろう。口角が緩く上がったのを確認したようにノマルは目を静かに細めた。

「なん?ノマ」
「こっちが何だって聞きてえよ」

 一見普通に会話が成り立っているように見えるが動揺は隠し切れていない。恐らく無意識からの行動なのだろうが、目を合わせようとしない。否、合わせられない――の方がこの場合には近いのかもしれない。気まずそうに俯くノマルに二度目のキスを軽く落とすと、間髪いれずにノマルは勢いよく後退った。

「なっ、んなん、だよ……!」

 わけがわからない、といった様子で困惑しているノマルの瞳は潤んでいた。そこで涙を流さないのは、せめてもの男の意地なのだろうか。
 本当は、もっとましな反応を返してくれると思っていた。まし、というより、つこみが考えていたシチュエーションが甘すぎた所為か、その反動のようにノマルの表情はつこみの心を深く抉った。

「ノマル、」

 優しく話しかけようとすると、ノマルは首を横に振った。もう何も聞きたくない。そんな雰囲気が漂っている。そんなに勢いよく首を振ったようには見えなかったが、瞳に溜まっていた涙は幾つか飛んで地面へ墜ちた。点々と、透明が散らばっている。ノマルの肩は小さく、震えていた。

「ノマ……」

 言いたいことなど何も言えそうになく、つこみはそっと瞳を閉じた。いつ目を開けても、もう目の前にいるのはこれまでのノマルじゃない。彼は恐怖の対象としてつこみを見ることになるのだろう。心の中で何度も繰り返した「愛してる」のたった一言は、ノマルの心には決して届かない。



圏外
(ボクノコエ、キミニトドカズ)






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携帯の中の書きかけを消化第一弾。




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