ヽ(゚ゥ゚*)ノ@ 拍手ありがとうございます、ささやかですがお礼の小話をどうぞ。 *** とある戦場に、若い兵隊さんがいました。 兵隊さんといっても、学も無ければ戦いに赴く大義も目的もなく、 自分が何の為に戦っているのかにも、大して興味のない兵隊さんでした。 ある日、兵隊さんは、住む人のすっかり逃げ出してしまった街に、猫がいるのを見つけました。 持っていたビスケットを割って投げてやると、猫はそれを拾い、黙って去っていきました。 それから、兵隊さんは猫とたびたび会うようになりました。 会う度、ビスケットをやる度に、猫は兵隊さんの近くに来るようになって、 やがて猫は、兵隊さんの隣で丸くなり、日向ぼっこをするようになりました。 兵隊さんは猫に、よく故郷の話をしました。 荒れて、貧しい土地であること。弟と妹がたくさん、年老いた父母と、より年を取った祖父がいること。 幼い頃から畑を耕していたこと。兵役が終われば、また元のような暮らしに戻ること。 お前も、一緒に来るか? 兵隊さんは一度だけ尋ねましたが、猫は返事をしませんでした。 ある日。兵隊さんは、子供を見つけました。 色の黒い、痩せた子供です。目だけが大きく、兵隊さんを睨みつけています。 兵隊さんは、動くことができませんでした。 子供がこんな所にいたからでも、その子供があまりにも痩せていたからでもありません。 子供の小さな手に銃が握られていて、その銃口が、既にこちらに向いていたからでした。 兵隊さんが目を開けると、子供はいませんでした。 周りからざわざわと音がしていますが、はっきりと聞き取ることはできません。 その音も耳鳴りに混じり、ゆっくりと聞こえなくなっていきます。 兵隊さんは、猫のことを思い出しました。 あの猫は、まだ待っているのでしょうか。 たった一匹で、お腹を空かせていないでしょうかと。 ちゃんと会いに行ってやらなければと、 兵隊さんはなんとか手を動かして、ポケットに入ったままの、粉々になってしまったビスケットの包みを握り締めます。 2/5 「猫と兵隊さん」 ![]() |
|