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ヽ(゚ゥ゚*)ノ@ 拍手ありがとうございます、ささやかですがお礼の小話をどうぞ。 *** わたしの母親は、ヒトではありません。 母には耳と尻尾があり、毛むくじゃらで、鋭い牙を持っていました。 母はよく窓際に座り、おまえがヒトに生まれて良かったと言いました。 わたしはその度、ふさふさの尻尾や、綺麗なツメが欲しいと言っては、叱られました。 そうして今年、わたしは山のてっぺんから森を見下ろしていました。 わたしは森に向かって、持っていた袋を振るいます。 中に入っていた、白い粉と欠片が飛び散りました。 全て撒いたあと、わたしは近くに、知らないヒトが立っているのに気付きました。 獣の森に向かうのかと聞かれ、首を振ります。 「そうだろうね。あいつらは下品できたならしく、褒める所がひとつもない生き物だ」 黙っていると、そのヒトは、わたしの首飾りに目をとめました。 「お嬢さん、良い物を持っているね」 譲ってくれと、何度も何度も頼まれましたが、断りました。 怒って去っていくヒトを、わたしは黙って見送りました。 母の牙を首から下げたまま、見送りました。 4/5 「獣の牙」
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