ヽ(゚ゥ゚*)ノ@
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***

わたしの母親は、ヒトではありません。
母には耳と尻尾があり、毛むくじゃらで、鋭い牙を持っていました。

母はよく窓際に座り、おまえがヒトに生まれて良かったと言いました。
わたしはその度、ふさふさの尻尾や、綺麗なツメが欲しいと言っては、叱られました。

そうして今年、わたしは山のてっぺんから森を見下ろしていました。
わたしは森に向かって、持っていた袋を振るいます。
中に入っていた、白い粉と欠片が飛び散りました。

全て撒いたあと、わたしは近くに、知らないヒトが立っているのに気付きました。
獣の森に向かうのかと聞かれ、首を振ります。
「そうだろうね。あいつらは下品できたならしく、褒める所がひとつもない生き物だ」
黙っていると、そのヒトは、わたしの首飾りに目をとめました。
「お嬢さん、良い物を持っているね」
譲ってくれと、何度も何度も頼まれましたが、断りました。

怒って去っていくヒトを、わたしは黙って見送りました。
母の牙を首から下げたまま、見送りました。


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「獣の牙」




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