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以下フラマリュ(ほんのりディアミリ)バレンタインネタ


「もうっ!」

隠せない苛立ちを含んだ叫び声が背後から上がって、ミリアリアは思わず振り向いた。
軍人にしては華奢な肩がふるふると震えていた。

まさか、泣いてるのでは--。
その姿が彼の人を失ったばかりの彼女と重なって見えて、一瞬声をかけるのをためらうが、先刻聞こえた「もうっ」を思い出して、彼女に近付いた。

「マリューさん?」

そっと顔色を窺うと…彼女は笑っていた。

にっこりと。

恐ろしい形相---そんな形容と美しく満面の笑顔が結びつく瞬間というものをミリアリアは初めて目にした。

「ま、マリューさん?」
ミリアリアの若干の怯えに気付いたのか、当人--マリュー・ラミアスは肩の力を抜いて苦笑した。
「見て。」
示された先、テーブルの上。そこにはミリアリアと彼女で端正込めて作ったハート形のチョコクッキーが綺麗に整列して、あとは詰められるのを待っているだけの…はずだった。

「あれ?数足りなく無いですか?」
数えやすいように整列されていたのだから、ところどころに空いた空間が目につく。
「そうよ、ちょっと目を離した隙にあの人が持っていったんだわ!」
あの人------この官舎に共に住む彼女の夫以外にありえない。
あの端正な容姿に似合わないちゃめっ気たっぷりの男からして、ちょっとつまみ食い----くらいはやりそうだ。
ミリアリアも苦笑した。

「しょうがないですよ、仮にも『鷹』な人ですから」
「獲物は逃さないって訳ね。…油断したわ。なんで男の人っていつまで経ってもつまみ食いが好きなのかしらね。どうせもらえるのも分かってるくせに。」
「子どもも好きですよ、つまみ食い。」
一瞬マリューはきょとんとして、そして破顔しつつ嘆息する。

「ホント大きな子どもは困っちゃうわね。」
「でも、同じように『可愛い』って思っちゃったりしますよね」
誰を思ったかミリアリアもため息。
「…そう思ったら負けなのよね。きっと」
「そうですねー。」
そうして心得た笑顔で応じる。
「じゃ、詰めちゃいましょうか、ホシの分の数は減らしてかまいません。」
「了解しました艦長。」

どうせ後で、特別製の物も渡す事ですしね。とは言わないでおいた。
《完》

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バレンタイン過ぎ過ぎ!ってツッコミはナシで……自分が一番わかってますorz。



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