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あれ、調子がおかしい、と思った次の瞬間どうにもいけなくなって意識を放した。
白い闇をどこまでも落ちる感覚。 もしかしたらこのまま目が覚めないのかもしれない。 かすかにそんなことを思ったのを覚えている。 強制的に肺が膨らむ不快感にからだが爆発して、私の意識は戻った。 むせてせき込む私の髪に誰かが触れる感覚。 まぶしさにかすむ目を見開くと、そこには心配そうに私をのぞき込む顔があった。 少し赤茶けて見える瞳。 ゲジゲジと男らしい眉毛。 顔の傷はひきつれていてよく見るとちょっと怖かったけれど、そんなの最初は気づかなかった。 私はその目に吸い寄せられたから。 私はそのとき恋に落ちたのかもしれない。 唇に違和感を感じてふるえる手で拭うと、かすかに濡れていた。 私の息は止まっていたのだという。 通りかかった先生がすぐに人工呼吸してくださったおかげで一命を取り留めたのだとか。 人はあの人を無免許の悪徳医だという。 けれど先生は私になにも要求なさらなかった。 それどころか私のすみかの惨憺たる有様を見て、私の、いえ私たちみんなのパトロンになってくださった。 こんな何もできない、社会から忘れ去られたゴミのような私たちには、先生の来る日だけがバラ色のひととき。 先生がいらした後はしばらくその話ばかりになる。 私は外を眺めるのが好きだ。 先生がいつ門を開けて入ってきてくださるか。 それを想像しながら外を眺めるのは楽しい。 夜になっても先生は大抵いらっしゃらないけれど、先生のくださったお金で作ったご飯が待っている。 それを食べながらみんなと先生のことを話す。 明日は来てくださるかもしれない。 そうでなくても明後日か、1週間後か、1年後には。 そういうと 「いつまで生きているつもりよ」 と友達にからかわれるけど、いいの。 本当に先生が好きなんだから。 先生が来るとみんな雨漏りとかいろいろ言うけど、本当はかまってほしいだけ。 先生を独り占めしたいだけなのよ。 だから、そんな困った顔ばかりしないで。 先生、またすぐ来てね。 今度はぼた餅作って待ってるわ。 「真珠のように」の老人施設とBJのなれそめを妄想。 自分から寄付先を探した訳じゃないだろうから、中の一人と何らかの関わりができての縁なんでしょうね。 |
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