「俺は、あなたを怖いと思ったことなんてありません」

そう言った彼の瞳があまりにも透き通っていたから、僕は喉の奥が震えて何も言えなかった。

吐き気がした。
いつだって彼はその身を群れの中に置いていたから。
彼のそばに居るのは僕だけでいいと思い、唇を噛んだ。
その感情は僕にとって自然になっていて、これがましてや男女間における恋のようなものだとは思わなかった。

けれど彼が突然に応接室にやってきて、僕に接吻した時にはもう、僕は自分の気持ちに気付かないわけにはいかなかったんだ。
だって僕はトンファーを取り出すのを忘れて、彼を殴り付けるのも忘れて、ただ必死に彼にしがみついていたのだから。

「俺は、あなたを怖いと思ったことなんてありません」
長い間触れていた唇が離されて、そう言われた僕の心に生まれたのは恍惚という感情だった。
誰にも近寄らせず、誰からも恐れられて、独りで立っていることに僕は疲れていたのかもしれない。
自業自得なのだけれど。
彼が自ら僕の元へ歩んできてくれたことが嬉しくて、首に腕を回した。

「雲雀さん。俺はあなたを怖いと思わない。だから、あなたの側にいる。それでは駄目ですか」
「……それが君の言う愛なら、受け取ってあげてもいいよ」

微笑んでそう言えば、草食動物だった彼の瞳が捕食者のそれにかわり、気付いたときには再び唇を食されていた。


スリリングな告白


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