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せんちめんたるじゃーにー




「そんな歌が、なかったっけ?」

 不意に言われた言葉に、反応が遅れる。一呼吸遅れて見上げると、顔が意外にも至近距離にあった。

「私にそれを聞く?」

 歌の題名なんて興味がない。重要なのは、それが心に届くかどうかだ。

「ん、今ふと思い浮かんだんだ。なかったかなって」

 にっこりと笑う。薄い唇が伸びて、弓形になる。この唇の形が大好きだった。

「もしあったとしたら、どうするの?」

「さあ、CDでも探して、聞いてみるのかな?」

 ニヤニヤと笑っている。

「どんな曲だと思う?」

「どんな曲だと思うの?」

「それはズルイな」

 笑いながら、目だけをぐるりと時計回りに回す。考える時の癖だ。

「せんちめんたる、なんてついているから、切ないバラードなのかしらん」

 首を傾げてこちらを見る。返事を要求しているのだ。

「案外、ハードなロックかもしれないよ?」

 浮かんだ答えを口にすると、瞳を大きく丸くして、すぐに狐のように細くする。

「それってステキ。せんちめんたるって、実はハードでロックだものね」

 心底嬉しそうに、歌うように呟いて、顔が離れた。

「調べないの?」

 訊ねると、可愛く笑って言った。

「せっかくのハードでロックな歌を、消したくないもの」

 笑うその姿に、笑みがこぼれた。








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書き終わってから、この題名の歌を知り、

あう、

とか思ったのは内緒です。



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