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申し訳程度に過去SSその2

Vlad大人ヘリオスと無茶ぶりされる木佐貫さん
 * * * * * 
「木佐貫、これ」
大人ヘリオス坊ちゃん……こと、蓮君がおれにメモリチップを差し出す。『Re-iN Pandora ToyBox』とデータバンクの名前が書かれたそれは、全く見覚えのないチップだった。
「……これは?」
「2206年のデータのバックアップ。…正確にはRe-iN最強のロボットと、Re-iN最凶の総帥の設計図……それから、アップグレード用のデータ」
――最凶の総帥はさておき、最強のロボットというくだりには覚えがある。
そいつは数年前、大暴走の挙句データバンク壊滅の危機に追いやられ、やむを得ず「マンドラゴラ」と「メデューサ」で破壊することになったあいつだ。
幸い、データバンクの壊滅の危機は免れたが、いくつかは手遅れになったデータもあった。あいつの設計図もその一つだ。
「外碇平人。もしかしたらもう、不要かもしれないけれど。たとえただの機械人形でも、存在してたことだけは確かだから」
まるで、データバンクの彼のデータが消えてしまったことを知っているかのような言葉。おれが何か言おうと口を開いたときだった。
「……いや、不要とは言わせない」
一足先に、黒鳳院の当主の声が聞こえた。
「か、会長!」
「外碇がいなくなってから、色々と不都合があってね。……丁度、外碇と同じタイプの機械人形を作れないかと総帥に相談していたところだ。しかし、よくこちらの時代のRe-iNのデータがクラッシュしていたのを知っていたね」
「……記録者ですから」
ああ、そうか。……鴉丸家は記録者の家系。かつて、Re-iNの創立メンバーの中にも鴉丸家の人間が居たのも、それが理由だったんだろう。
ヘリオス坊ちゃまが、卒業後にRe-iNにくることになっていたのも、納得がいく。
「外見なら悟がどうにかしてくれるだろう」
「……唯一、絶えた月神家の業を受け継いだ人形師だから? ……それなら、話は早いね」
「え? ちょ、ええ!?」
「外碇の基本的な人格データはちゃんとこの中にあるから、プログラムを修復してナノマシンを組み込めば……」
「ああ、あとは万が一に備えて外碇を操る権限を誰かに与えればいい」
「……ちょっとー」
『木佐貫なら、できるでしょ?/木佐貫君なら簡単だろう?』
――勝手に決めないでー!!
(……っていうか、プログラムはおれの担当じゃないっ)

――不可能を可能にする男。
(かくして、そんな二人の無茶ぶりで、おれたち外碇平人開発チームが再召集され、バージョンセカンド計画が始まった)

「で、命令権限は誰に与えようか」
「……そうだな、キャロルだろうね」
(今のお嬢様にそういう権限を与えたら大変だと思うんだけどなぁ……)



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