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申し訳程度に過去SSその3

グリルパルツァーなネタ① 霧廻の忠誠
 * * * * * 
「……霧廻は、それでいいの?」
「――はい? 何がでしょうか、お嬢様」
それは主からの、突然の主語のない問いかけ。何を尋ねられているのかが分からない為、こちらは答えようがない。
「起源の贖罪の話よ。祖先のトラブルなのに、末裔になっても償わなきゃいけないなんて」
「……ああ、その事ですか」
お嬢様は分かっていない。その起源が犯した罪が、どれだけお嬢様の母方の一族を苦しめて来ていたのかを。魔女と蔑まれてきた彼女たちの憎しみを。
「お嬢様。お嬢様は赦してくださるのですか? 起源が犯した罪を……」
「赦せないわ」
そうだ、それが当たり前の事であって、そうである限りこの罰は続く。赦されない限りは罪を償い続けなければならない。それが、孔雀が魔女にかけられた呪いなのだから。
「……でも、罪を犯したのは起源なの。だから、何も悪くない霧廻は赦せる。だって霧廻は、そんな祖先に文句も言わずに、私なんかのお世話をしてくれたんだもの。図書館の管理も大変だというのに」
それは止まっていたものがようやく動き出した瞬間。罪を償いきるまでのカウントダウン。
「……お嬢様」
お嬢様の前で跪く。きょとんとする彼女の白い手を取り、そのまま甲に口付ける。

――そばにいたいと願うだけ。
(一生貴女にお仕えします。たとえこの身が滅びようとも、貴女の側に居られるのならば)

「き、霧廻!? 人が見てる……」
「ええ、分かっております。ですが私は、ただ起源の犯した罪を償う為に貴女に仕えているわけではないことを解って頂きたいのです」



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