「小話3 慶佐」

下町で夕飯の買い物をしていた佐助は、街の角に見たことのある尻尾を見つけて歩み寄った。

「や〜っぱり、慶次だ」
「おっ佐助じゃねぇか」
「そうだと思ったんだよね〜その見事な尻尾」
「ん〜これか?」
「そうそう、それだけタップリした髪も中々見ないよね」
「将来、禿げねぇぞ」
「そりゃいいね。んで、何してんのこんな所で。
 また喧嘩でも売りに来た?」
「いんや。今日は見物だ」
「はぁ〜相変わらずふらふらしてんの。まつさんかんかんだろ」
「うわっ、それを言うなよ」
「本当の事じゃん。怒られるって分かってんのに何で同じこと繰り返すかね」
「それが人の性ってもんさ。楽しいもんには逆らえねぇよ」
「やれやれ。でもいい加減にしとかないと、本気で頭に拳骨落ちるよ?」
「面白そうに言うなよ〜」
「楽しいもんには逆らえないんでね」
「ちぇっ。でも、まぁ、まつ姉ちゃんも本気で心配してくれてはいるんだよな〜」
「だったら、せめてもう少し したら?」
「何を??」
「女の子、どうせ毎日遊んでるんでしょ〜羨ましいこって」
「うわっ酷いぞ佐助。俺は別に女の間を遊び歩いてるんじゃないって」
「へぇ〜?」
「疑いの目……本当だぞ。そんな酷い事はしない男だ、俺は」
「でもさ、浮世の恋なんて言ったりして?」
「うっ…確かにそれは魅力的……じゃなくって、俺は一応恋ってもんには一線を引いてるんだ。
 軽々しく遊んだりはしない」
「へぇ、以外。じゃあ今慶次に特定の人は居るの?」
「いや…」
「何だ。だったら早いとこ相手を見つけなよ。そしたら少しは放浪癖も直るかもよ?」
「そうだな〜でも中々振り向いて貰えなくってな」
「あらら、思い人は居るんだ?どんな人」
「可愛い人だ。それでいて強い」
「そりゃまた理想的。告白は?」
「中々……」
「寂しいねぇ〜」
「…そ、寂しいんだ。だから佐助、俺を慰めてくれよ」
「ははっ。そんなことしたらあんたの思い人に刺されちゃうよ。
 じゃ俺様買い物途中だから。慶次も早く帰らないとまたまつさんが追っかけてくるかもよ?」
「そりゃぞっとしないな」
「じゃね〜」


人ごみに混じって視界から消えた背中眺めながら、慶次はふと息を吐いた。

「そいつ、中々鈍くてなぁ……」












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