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01.力強く抱きしめる (復活RE27:10年後/ほのぼの)


沢田綱吉は睡眠をこよなく愛している。
他に何が好きかと問われれば、ゲームするとか漫画を読むとかだらだらするとか色々あるけれども。
誰にも邪魔されない平穏な睡眠が、今のところ彼の最も愛するべき行為だ。
「・・・やば、寝てた」
かといって、その幸せは余り彼の元へは訪れてくれない。
最近も睡眠不足で平均三時間眠れれば良い方の生活を余儀なくされて居る身としては、ちょっとしたうたた寝くらい多めに見て欲しいと思うのだけれども。
「見付かったら殺される・・・っと、あれ?」
拡げていたはずの書類は手元にない。
どころか、座っていたはずの椅子でさえなく、辛うじて執務室内のソファの上であると理解した。
時間は随分経っている。外はもう真っ暗で、恐らく日付も超えているだろう。
これはもううたた寝どころじゃない。がっつり居眠りこいた結果だ。
「でも俺、こんなところで寝たっけ・・・?」
起き上がろうとして、更に違和感を感じる。
恐怖を感じながらもそろそろと視線を下ろしてみれば、腹の上でにやりと笑う漆黒の瞳とかち合った。
「ようやく起きたかダメツナ」
「お、な・・・!ご」
「おなご?」
「じゃなくて、お前、何で!!」
「最初に持ってくるのはそれじゃねーだろ」
「ごめんなさい」
反射的とはいえ、謝罪した綱吉の額に押し当てられた黒い塊は満足そうに頷いたリボーンの懐へ消えた。
「それにしても、何で?」
「その問いは何に向けての疑問だ?」
どうして俺はソファに寝てるのだとか、いつ帰って来たんだとか、何でこんな体勢だとかそりゃあ色々あるよと、心の中で考えた疑問を読んだのだろう。
普段ならば口で言えと真っ黒い危険物が火を噴くのだが、今日は難なく答えてくれた。
「叩いても殴っても起きやしねーからこっちに運んだ。帰って来たのは昨日だな。いつまで経ってもお前が部屋に戻って来ねーから迎えに来てやったんだぞ」
妙に機嫌の良さそうな先生は、御歳11歳。
まぁ、二度目のと言っても間違いじゃないのだが、まだまだ容姿はお子様だ。
だから上に乗られても重さは余り感じないのだが、この距離は綱吉にとって色々と困るので。
「・・・だからって、この体勢の意味は?」
「頑張ってる様子の生徒にご褒美だ。悪くはねーだろ?」
流石にそれは判りませんと首を振っても、先生は問答無用で腹の上に寝転がった。
上等なソファは広く、綱吉にとってはベッドも同じ。ただ、行き場に迷うのは下がったままの腕で。
「でも、お前触られるの今でも嫌いじゃないか」
「さてな。それはお前が思ってるだけかも知れねーぞ?」
それでも戸惑ってしまうのは、今まで散々投げ飛ばされてきた経験があるからで。
思った以上に根深いそれに、リボーンは溜息を付いて薄っぺらの綱吉の腰に腕を回した。
「リボーン・・・?」
背中にも腰にも、触れて柔らかい肉など無い。筋張った、けれど男臭くも無い薄い身体を抱きしめた。
「・・・甘えたがりの生徒のために、俺様が甘やかしてやろうって心遣いをちったぁ読みやがれ」
綱吉から見てみれば、珍しく・・・いや、初めてかもしれないが、リボーンの方が甘えているように見えるのだけれども。
「本当に、いいの?」
「あぁ」
そろりと、まだ小さな背中に回る腕。
苦しくないように、けれども触れたくて触れたくて仕方なかった思いをぶつけるように力強く抱きしめる。
逃げられないように。強く腕の中に閉じ込めて。
「ツナ」
「何だよ。いいよって言ったのお前だもん。・・・甘やかしてくれるんでしょ?」
慢性的な睡眠不足の身体は正直まだ寝足りない。
暖かい抱き枕まで提供してくれたのは、紛れもない先生なのだ。
「甘やかしてやるから、せめて部屋のベッドに移動しろ」
「・・・このまま抱っこして行ってもいいなら」
「・・・ッチ。今回だけだぞ」
お許しは頂いた。
寝起きなんて何のそので飛び起きて腕の中のリボーンを抱きしめたまま、夜の闇に沈んだ執務室を後にした。



C.S. 2010/06/01 up



抱きしめる5のお題(お題配布:『キミの記憶、ボクの記憶』 様)



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