ありがとうございました(*´ω`*)ノ


独白 2

 隼人さんはマウスでモニター上の設計図をなぞりながら、頭を寄せた技術者達に、自分が何をしたいのか説明し続けている。
 それを遠巻きに眺めながら、不思議な事も起きるもんだ、と、俺は同僚に話しかけた。

 この人が恋をするとかさ、信じられる?

 笑うな、コーヒーを吹くな、殺されるぞ。
 と、かく言う自分も笑っていたりする。当然、会話は耳に入らないよう超低音だ。

 隼人さんが話し続けている。首を傾げ、肩越しに振り返り、長めの髪が揺れる。
 男の自分でも時に惚れ惚れするような、いい横顔。
 惚れる女は多くいたろうに、この人から浮いた噂は全く聞かれなかった。


 ―――そんなわけだ。後は頼めるか?
 隼人さんの問うのに回りが頷き、それを見て珍しく、フ・・・と笑う。

 ああ時間が惜しいんだな。
 それも今までなら研究のためだけど、違う理由もあって。
 側を通る隼人さんに、つい話しかけた。
 “ねえ隼人さん、もっと自分達を信用してくれて大丈夫ですよ?”

「?」 と傍らで足が止まった。

 俺も馬鹿だ、誰もこの人の代わりなんて出来やしないのに。言ってしまってから恥ずかしくなるね。

 不意に隼人さんが微笑んで、俺は逆にギョッとした。
 俺の肩を叩いて“ああ、当てにしてる” と囁き、やわらかい風を残して白衣が舞った。

 俺の相方は感きわまったように、あの人が出て行ったドアを見つめ続けている。
 おいおい、なに真っ赤ンなってんだよ、とツッコミながら、たぶん俺の顔も赤い。
 そう、あの人は天才で、強靱で、我ら科学技術部の全員が目指す北天の星。
 それだけに頼れるものは何一つ無く、辛さを誰にも見せない孤高の人だ。

 なんと、そんなあの人が恋をしたんだと。

 俺はホッとしてる。俺だけじゃない、たぶん全員。
 だって俺達は、あなたに幸せになってもらいたい。

 甘えてください、笑ってください、もっともっと、科学以外にも貪欲になって下さいよ。
 あなたが恋をした、私生活など顧みないあなたが恋をした。
 
 
 隼人さん、それが嬉しくて仕方がないんです。
 
 
 
ただいま絵・六つ、文・二つ、
相変わらずのランダムですいません(´・ω・`)



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