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お礼夢小説『manager life(空篇)3題』置いてます。
手塚・不二・乾の3人です。
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「口の中の幸せ」





青い空…白い雲…

スッキリと爽やかな青い空に、もくもくと浮かぶ白い雲。
そのコントラストがとてもキレイで、ついうっとりと眺めてしまう。

「どうした?」

テニスコート脇でしばらく上ばかり見ていた私に、手塚が声をかけてくる。

「キレイだなーと思って」

私の言葉に手塚も空を見上げる。

「ああ、そうだな」

手塚もステキなコントラストに目を奪われてるみたい。

「あの雲なんて、綿あめみたいで美味しそうだよね」

ぽっかりと浮かぶ雲がふわふわしてて、まるで綿あめみたいだなって。
そんな私の言葉に手塚がふっと笑う。

「あー今笑ったでしょ。綿あめみたいだなんて…子供かよって?」

キレイな空を見ての感想が綿あめだなんて、自分だって子供っぽいなと思う。
もっとステキな表現はなかったのかって。
自分自身情けない。

「確かに、綿あめのようにふんわりと浮かんでいるように見えるな」

私に合わせてくれたのか、今日は手塚が優しい。

「でしょー。あーなんだかホントに食べたくなっちゃった」

「だが、雲はほとんどが水分だ。そして、地上に降りる頃には蒸発して消えてしまう。
食べることはできないだろう」

「そんなことわかってるよ!んもー、雲を食べたいんじゃなくて綿あめを食べたくなったの!」

まったく手塚っていつもこう。
真面目すぎるから話がすれ違うことがしばしば。
まあ、そんなところが可笑しくて、好きなんだけど。

「綿あめか…縁日などの出店は今どこかにあるだろうか?」

「縁日?どうして?」

「綿あめはそういう場所で売っているだろう?」

私が食べたいって言ったからか、手塚が真剣に考えてくれてる。

「そう言えば、隣町の商店街が今ちょうどお祭りやってるって聞いたけど…もしかしたら綿あめあるかな?」

「行ってみるか?」

「うんっ!」

急遽、今日の帰りは二人してちょっと足を延ばして隣町。
商店街はささやかなお祭りの賑わい。
いろんな出店の中に綿あめの文字を見つける。

あったよ!と言うと、手塚は「良かったな」と優しく微笑みながら。

ふわふわの綿あめを一口。
甘くて一瞬でなくなる…これが美味しくて、楽しい。

手塚も食べる?と勧めると、指で一つまみちぎって口の中へ。

「ああ、甘いな…ふんわりとしていて、まるで雲のようだ」

「でしょー!」

一つの雲を二人で食べてるみたい。
さっきの雲もきっとこのくらい甘いハズ。

そう言うと、手塚は「そうだな」と。
そんな手塚は今日はなんだかすごく優しい気がする。
おかげでちょっと調子狂っちゃう。
さっきから胸がドキドキうるさいんだよね。
ホント…ヘンなの。





久しぶりに食べた綿あめは思った以上に甘く、柔らかい。
その甘さに自然と口元が緩み、柔らかさに指が次へと止まらない。

その綿あめを美味しそうに、嬉しそうに食べる姿は見ていて俺まで嬉しくなってくる。

偶然この祭りに出会えたことを感謝する。

「綿あめ一つで幸せになれるなんて、ホント子供っぽいよね…わたし」

そう言いながら綿あめを口に入れるたびに微笑む。

「お前の気持ちはよくわかる」

この口の中の幸せは俺も同じように思う。

「雲を綿あめと比喩したことは、俺は好きだ」

そう言うと少し頬を染めながら「エヘヘ」と笑う。

そうか…口の中の幸せは、きっとお前と共に味わっているからなのだろう。
俺一人では感じられなかっただろう、この幸せを心で感じる。

見上げた空には、夕日に染まる綿あめがふわりと浮かんでいた。





手塚で『雲』



 



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