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梅雨ももうすぐ明ける頃の、夏休み前最後の水泳の授業の日。
つららはプールサイドで、巻、鳥居に挟まれて質問攻めにあっていた。

「ねー、奴良って着やせするタイプだね。案外いいカラダしてるよねー」
「ね、つらら、奴良とはどこまでいってるの?」

その問いに、つららは真っ赤になって慌てる。
その様子が余計に、周囲の者の好奇心を駆り立てるのだが、あいにくと気付かないようである。

「どこって、いったい何の話ですか?」
「何、恍けた事言ってるの?こっちはわかってんだからねー」

巻は意味ありげな視線を向けているし、その通りというように鳥居も頷く。

「今日という今日は、ちゃんと聞かせてもらうまで帰らせないからね」

どう返したものかと悩んでいると、校庭に向けたスピーカーから授業終了のチャイムが流れて来た。
この瞬間は助かったと思うものの、この執念を見る限り、そう簡単に今日は帰してもらえないと気付かれないようにため息をついた。

*   *   *   *   *   *   *   *   *   *

昼休みの屋上。
巻・鳥居コンビを振り切って、つららはリクオとの昼休み時間を確保していた。
いつもより疲労の色が濃いのは仕方の無い事だが、プールでの出来事を知らないリクオはそれは夏の暑さのせいだと思っていた。
それも仕方の無い事ではあるが、その経緯を知らなかった事がその後に大きな影響を及ぼす事になるとは二人とも思いもよらないことである。
つららは一人悩んでも仕方ないと思ったのか、若干凍った(夏の気温で殆ど解凍されてきている)卵焼きを食べているリクオに問いかける。

「リクオ様、ちょっと伺ってもいいですか?」
「うん、なに?」
「さっき、プールの授業で巻さんと鳥居さんに変な事訊かれたんです。リクオ様とはどこまでいってるのか?って」

思わず咀嚼している物を吹き出しそうになるのを堪えて飲込んだものの、かわりにむせ返る。
リクオにペットボトルの水を急いで渡したが、慌てたのが徒になり中の水は凍ってしまった。
水分摂取が難しくなった以上、リクオの背中をさするしかないが、すぐには咳はとまらない。
ようやく収まる頃には、氷も溶けて水になっていた。
リクオは飲み頃になった水をゴクゴクと飲み干し、人心地つく。そして、

「さっきの、何だって?」
「ですから、リクオ様とはどこまでいってるのか?って訊かれたんです」
「で、なんて答えたの?」
「答えあぐねていたら、チャイムがなったのでそのままなんです。でも、ちゃんと答えるまでは帰さないって言われたんです」

でも質問の意味が良く分からなくて…、と俯くつららを見てリクオは思わず空を仰いだ。
いくらリクオでも解ることなのに、目の前の彼女は本当に解っていないらしい。
前途多難だなぁ…、と独りごちたリクオは、気を取り直して問いかけてみる。

「とりあえず、キスまでって言ってみたら?しつこく訊かれてもほんとにそうなんですって言えば諦めると思うけど」
「え?そんなリクオ様にご迷惑がかかるような事はできません」

そう言って頑な態度をとるつららに、リクオは苛立ってくる。
所詮は自分のわがままなのだが、嘘や方便でもいいからどこかで公認の仲になりたいのだとリクオは自分の心情を解っている。
望んで噂になるように、普段からタネを撒いて歩いているというのに、ようやく出た芽はこのままだと枯れそうだ。

「そういう事を訊かれる時点で、僕とつららは付き合ってるって認識されてるんだよ?迷惑とかそういう事は抜きにして、つららは僕の事どう思ってる?」

側近だとか、そういうのも抜きにして考えてね、と付け加える。
こういう聞き方は狡いなと思うが、きっとこれが自分の性分だから仕方がないと思う事にする。
だが、この問いは彼女には難しすぎたらしい。答えを出す前にリクオの方に重みがかかったと思ったらそこにはつららの顔があった。夏の暑さも加って、先程の「付き合ってる」の行が頭の中でぐるぐると回る。

「ごめん、卑怯な聞き方したね。でも、そこから考えて答えを出してほしいな」

暑い屋上で放す内容じゃなかったね、と付け加えたたリクオは、つららを抱きあげる。
つららをお姫様だっこして歩くリクオを見てまた新しく噂がたつのだが、それはあながち間違いとはいえない。…のかもしれない。


たまに手書きするメモにあった話を膨らませてみた。
何を書こうとしたのかは、つららさんのスク水から連想して…ってことだと思います。
5行くらいしかなかったので、ほんとに最初の出だしくらいの話で止まってました。
これ、中途半端すぎるので、続き書きたいです。
どうにかして、続きをね…。













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