生憎の天気、晴れていればこの可愛らしい作りの顔が拗ねてしまうことは無かったというのに。
それでもまだ雨じゃないだけましだろう。
雪が降りそうな程寒いのは気にしなければ気にならない・・・はずだ。
「尚香様」
「・・・なぁに?」
返ってきた声に棘は無いけれどやはり少し拗ねているようで、困った彼は、彼女を挟んだ向こうに居る男に視線を送る。
自分と同じ長身の男は口元に僅かに笑みを浮かべただけで、何も言わない。
「子龍、何?」
「あ、いえ、その・・・」
少し下から問う声に何て言って良いのかわからず、おろおろする。
尚香の眉が徐々に中心に寄り始め、ますます趙雲は困ってしまう。
「趙雲はお前の機嫌が気になるんだと」
助け舟なのか、火に油を注いでるのかわからない言葉は、尚香の後ろに立って居る男から発せられた。
「ば、馬超殿!」
「本当の事だろう?」
心臓ばくばくの趙雲にさらっと発言する馬超は、さすが・・・というべき・・・なのか?と自問したことは置いといて。
趙雲は尚香の顔を恐る恐る見てみる。
彼女は怒りの表情でもなく、ただ申し訳なさそうに俯いた。
「・・・ごめんね子龍」
「いっ、いえ!尚香様が謝る必要なんて!!」
「あるだろ?」
「馬超殿は黙っていて下さい!!」
趙雲の言葉に肩を竦めて馬超は黙る。
「尚香様、気になさらないで下さい。晴れなかった天気が悪いのです」
趙雲の言葉に馬超は、何を言ってるんだお前?と首を傾げたが、とりあえず黙っておいた。
「今度は天気が良くなるように精一杯祈りますので!」
「・・・っぷ、あははは」
趙雲自身どうやって慰めているのかもわからずに、とりあえず思いついた言葉を並べていたら、目下の彼女は笑い出した。
「子龍って面白いのね」
「面白い・・・ですか?」
「うん、面白い」
俯いていた時とは変わって、彼女らしい花のような笑みにホッとしつつ、自分の何が面白いのかまったくもって理解不能だった。
しかし彼女が笑っているのなら、それで良い。
「あー、笑ったらスッキリしちゃった」
「それは良かった」
雰囲気が丸くなったところに、今度は白い花が降り始める。
「雪だ、どうりで寒いはずよね」
天を仰いで吐いた息は白く霧散する。
胸の前で合わせた華奢な手は寒そうに白い。
その片方の手を握った手があった。
「孟起?」
「風邪を引かせるわけにはいかんのでな」
左手を包むように握っているお陰で、寒さが一気に軽減した。
言葉に表さない優しさも嬉しい。
でももう一つの手が空いてるな〜、と思っているとこちらも取られる。
右手を握った男の顔は真っ赤で緊張しているようだった。
二人の優しさがとても暖かい。


「ね、また三人で出かけようね」
良いでしょ孟起?と自分の左に尋ねると、肯定の頷きを頂いた。
右を向いて趙雲に、良いよね?と問われるとこちらも笑顔で頷く。

「二人とも大好きよ」


満足そうな笑みと共に発せられた言葉に、二人の男は空いている方の手で照れ隠しに頬を掻いた。


<了>
三人はどこに行って何をしようとしていたんでしょう?(苦笑)
でもこういう三人もありだよね!



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。