『鎖の名前は鋼と蜂蜜』(ふたり)

「お茶にしましょうか、ラカン」
「あ。ソフィ―…エリィ、蜂蜜を金属の器に入れちゃだめだ」
「あら、どうして?」
「蜂蜜と金属は相性が悪いから、味が落ちたりする」
「へえ……ああ、だからラカンは昔、陶器の入れ物を使ってたのね」
「……よく覚えてるんだな」
「ふふ。長年の謎がとけてすっきりだわ。待ってて、スプーンも替えなきゃ、木のを取ってくるから」
「いや、俺が支度するからエリィは座って――」


――――


「あ、駄目よフェイ!蜂蜜を金属の器に入れちゃあ!」
「え。何で?」
「蜂蜜と金属は相性が悪いの。味が落ちたりしちゃ、嫌でしょ?」
「ああ……『そうだった』っけ。じゃあ、スプーンも替えるかな」
「ええ。陶製か木製が良さそうね、硝子でも可愛いでしょうけれど」
「に、しても。エリィ、どうしてそんなこと知ってるんだ?ソラリスには蜂蜜なんてなさそうなのに」
「さあ――どうしてかしら?」

 素朴な疑問を口にする彼に、発言したとうの本人であるエリィさえ、さも不思議そうに首を傾げる。けれどすぐさま、ぴうぴうと賑やかしく歌い始めるやかんに沸騰したと告げられて、ふたりとも慌てて我に返る。早く支度を終えなければ、お茶を待ち望んでいるガンルームの仲間達から、ぶうぶうと不満の嵐が巻き起こるだろう。急いでてきぱき、整えられてゆくお茶の支度に、ささやかな疑問は消えてゆく。そしてもう、数分後には、思い出されることもない。







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