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<お題小咄>


■"刹那"が"響"を「甘やかす」■


 目を開くと、すぐ傍に見慣れた銀色。息を飲めば、その瞳がうっすらと開かれて、透明な紅い瞳が己の姿を映すのが見えた。
「刹那さん…?」
 布団で眠る響の隣、畳の上に寝転がる長身。寝る前は確かに隣の部屋にいた筈なのに、いつの間に隣に並んだのか。気配すら感じさせず、その寝息すら判らないほど微かな呼吸で…
「どうしたの…?」
 初めてではない。どういうことか判らないけれど、こういう気分の時、刹那はそこにいてくれた。
「聞こえた」
 そう言って、長い指が頬を撫でる。微かに眉を寄せて、それから大きな手が頬をなぞった。
「ありがとう…ございます」
「いや…」

 黒く渦巻く夢を、未だに見ることがある。世界の果てのような光景、乾ききった場所。そうして次々と、そこから見える出来事。はっきりと覚えている訳ではない。ただ、不安で寂しくて心細くて…そういう時の寝起きは最悪で、いつまでもどんよりとした気持ちを抱えたままになってしまっていた。
 それがなくなったのは、何故かそういう夢を見ている時に限って、目を開けば刹那がそこにいてくれるようになってから。稀に涙を流していることもあるけれど、そうでない時も、刹那はそこにいてくれた。
「寒くないですか?」
 そう言って少しだけ布団の中で体を動かして、空きを作る。刹那はそこに潜り込んだ。
「寝ろ」
 そっと目を閉じて、そうすれば、刹那の手が頭を撫でてくれるから…

 まるで父親にあやされるみたいに甘やかされるのは、恥ずかしいけど嬉しい。



                                   <月華の剣士/刹那・高嶺響>



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