「なぁ長門」
「?」
去年の夏休みの暮れのことを思い出しつつ、ずっと気になっていたことをたずねてみた。
「二週間を一万五千と何回か繰り返したって言ってたよな」
「……」
かっくんと頷いて肯定された。
俺たちの体の成長と記憶はリセットされたが、長門だけはそういったものに無縁である。
つまり長門は確かに二十万日以上を過ごしたわけだ。
てことはだな、
「お前、今年で598歳ってことだよな。……これからは敬語使おうと思うんだけど、どうだ」
人生の超大先輩ということになるのではないだろうか。
俺の言葉に長門は何故か持っていた本を床に落としガクブルと震えだして、
「歳の差なんて関係ない」
「……は?」
「歳の差なんて関係ない」
「なんのことだ?」
「あなたはしっかりしているようでどこか抜けた正確。姉さん女房が相応しい」
「自分でもたまにそう思うけどさ、だから何の話だ?」
やたらめったら必死な長門の姿に俺はクエスチョンマークを連続で使用せざるを得なかった。
本当にいったいどうしたんだ、えーと、長門先輩。
「……訂正。少しぐっときた」
どうやら俺には理解できない話らしい。やれやれ。
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