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下から、「ウオノメにキス」の番外編お礼文になります。
これからも皆さまから応援をいただけるよう、日々精進して参ります!



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~ある日のごんざれすの風景(親友N・Sの証言)~

 麗らかな春の日差しをいっぱいに含んだ休日の空気が心地良い。
 たどり着いた店のドアを、私は人並み以下に小さな身体でよいしょと引き開けた。

「いらっしゃませ。おひとりでは初めてですね、鈴枝さん」
「あ。栄二さん!」

 カランカランと軽やかな音色を立てた店内。大人びた笑顔を浮かべる店長さんに、私も笑顔を浮かべる。

「誘ったんですけど、杏は今日予定があるらしくて。おひとりですがお邪魔します~」
「大歓迎ですよ。どうぞ、お好きな席に」

 平日の午後ということもあって、今のところ私以外に客はないらしい。店番も栄二さん一人のようだ。
 キョロキョロと辺りを見渡して、一番日当たりの良さそうなソファー席を選んだ。

 程良く下げられたレースカーテンから漏れる日の光はまるで爽やかな木漏れ日のようで、私はぐいっと身体をいっぱいに伸ばす。
 人だって時にはこうして、光合成をする時間が必要だと思う。

「うう~ん。やっぱりこのお店はいいですね~。こういうカントリーチックな雰囲気、私本当に好きなんです!」
「そう言っていただけて光栄です。メニューをどうぞ」
「あ。もう決まってるんです。前も頂いたチョコラテで!」
「はい、お待ちください」

 くすくすと笑いをこぼしながら、栄二さんは厨房へ消えていった。
 テーブル脇に置かれた何冊かの本に気付き、そっと手に取る。
 ジャンルがまるでばらばらのそれらを眺めながら、無意識に表紙をめくって下に記された装丁イラストの氏名を確認してしまう。
 三冊中の一つは特に最近有名になっているイラストレーターで、自分よりも年下。重い溜め息を吐きそうになって、ぶんぶんと首を振った。

(嫉妬する資格なんて、私には無いよねぇ……)

 イラストの道に進むことだって、決して選択できなくはなかった。それでも、今の手堅い職場を選んだのは結局自分なのだ。
 それも杏には簡単に見抜かれて、最後まで選択の如何を窘められていたけれど――。

「どうぞ。チョコラテです。お熱くなっていますので、ご注意下さい」
「っ、あ、ありがとうございます!」

 突然かげったテーブルに、私は慌てて返答する。見上げた先にある穏やかな笑顔に、微かな驚きの感情が滲んでいた。
 今は私以外に客は居ない。

 少しだけなら――お話することも、構わないだろうか。

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